2006年10月19日(木) 17時07分
筑前・いじめ自殺から1週間 悩む生徒、地域 欠席続出、祭り中止 住民有志が公開討議へ(西日本新聞)
福岡県筑前町の三輪中学校2年の男子生徒(13)が、11日にいじめを苦に自殺したとみられる事件から約一週間。同級生による悪質ないじめや、元担任教諭によるいじめを誘発する言動が明らかになる中、学校では精神的ストレスから学校を休んだり、体の不調を訴えたりする生徒が相次いでいる。ここにきて情報を公表しなくなった学校側に住民も不信感を募らせるなど、波紋が広がっている。
「3年生は高校受験を控えている。勉強しやすい環境を整えなきゃいけない時期なのに…」。同校に通う娘を持つ母親は声を落とした。
同校ではショックから体の不調を訴える生徒が続出。多い日で約20人、平均でも十数人が連日欠席している。現在、県教委から派遣された4人のスクールカウンセラーが全校生徒(425人)を対象にカウンセリングを実施しているが、面談の途中で突然泣きだしたり、「眠れない」と訴えたりする生徒も少なくなく、継続的なカウンセリングが必要という。
学校や町教委には全国から電話やメールが殺到。「なぜ学校はひどくなるまで気づかなかったのか」など大半が怒りや抗議という。同町では来月、恒例の「どーんとかがし祭」の開催が予定されていたが、町などでつくる実行委員会は「事件で町の一体感が失われている今、祭を楽しむ雰囲気にない」と中止を決めた。
生徒や保護者への過熱取材を懸念し、同中父母教師会は報道各社に取材自粛の要請を出したり、全校生徒に取材拒否カードを配布したりしたが、逆に「真実が覆い隠されるのでは」(住民)との懸念も広がり始めている。「包み隠さず真実を明らかにしたい」として学校が始めた記者会見も数日、中断したままだけに、「取材に応じないことがかえって混乱に拍車をかけている」(別の住民)との批判もある。
こうした状況の中、住民の間では事件に向き合おうという動きも。同世代の子どもを持つ母親など住民有志でつくる「ちくぜん子どもネット」は、21日に町民が事件について考える公開フォーラムを同町女性センターで開催する。稲永正子代表(47)は「子どもたちの不安は今ピークに達している。自分たち大人に今、何ができるのか考えたい」と話している。
=2006/10/19付 西日本新聞夕刊=
(西日本新聞) - 10月19日17時7分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061019-00000035-nnp-l40