悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。
また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。
佐賀県庁の「危機管理・広報課」の仕事は、毎朝1000件前後届く「書き込み」情報に目を通すことから始まる。
「佐賀」という言葉が含まれる情報で、前夜までの1日に書き込まれたものだ。個人のホームページや「2ちゃんねる」などの掲示板、メールマガジンからニュースサイトまで。ネット上のあらゆる場所から検索され、東京都渋谷区の監視会社「ガーラ」から送られてくる。「佐賀」を含む三つのキーワードを拾い出す契約で月10万円弱。
佐賀に好印象を寄せたブログを見つけるとお礼のメールを送るなど、「ポジティブに活用している」というが、導入のきっかけは危機管理のためだった。
03年末、地元の佐賀銀行が取り付け騒ぎに見舞われた。「つぶれるそうです!!」というたった1通のメールが発端とされる。「ネット時代は『デマ』でもあっという間に広がる」と同県。
佐賀ブランドを守るため、誤った情報を見つけると、訂正を求めるメールを送ったり、削除を依頼したりする。学校や被害者が実名で書かれたいじめ情報を発見し、学校に連絡して深刻化する前に防ぐのに役だったこともある。
ガーラ社は、依頼されたキーワードを基本に独自に開発した検索ソフトを駆使し、情報を集めている。過去に拾ってダブる情報は省ける機能が特徴だ。
顧客は大手企業が中心で、メーカーや金融機関など。昨年度末の導入先は121件となり、監視事業を始めた6年前から12倍に増えた。
集まるのは風評ばかりではない。会議内容の暴露や撮影禁止の作品画像が出回ったのを突き止めたこともあるという。
「人の目」を使った監視を売りにする会社もある。東京都港区の「イー・ガーディアン」は、企業が運営するブログや、同好の士が集まる「コミュニティーサイト」など約100のサイトの監視を請け負う。70人のスタッフが3交代、24時間態勢でパソコンに向かう。チェック頻度や点検する書き込み量によって顧客が払う料金は異なる。
違法な内容がないか、他人の悪口や会話の流れの妨害はないか。1日に平均7万件もの書き込みをチェックする。依頼者から削除権限を得た場合は、サイトへの掲載前に書き込みをチェックし、載ってもすぐに消す。会話の流れが大切なため、人の目で見た判断が不可欠という。
同社の高谷康久社長は「参加しやすい場の維持にはノウハウが必要。サイト内のやりとりが活発になれば情報が集まり、企業のメリットにつながる」と話す。逆に運営を誤れば、利用者に悪い印象を抱かれかねない。