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携帯電話3社の契約数シェア
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持ち運び制に備え、各社が発表した新機種数は、ドコモ14、KDDI12、ソフトバンク13。一度の発表としては、いずれも過去最多だ。
シェア55%を占めるドコモはその座を維持できるかどうかの戦いだ。「iモード」生みの親として知られる夏野剛・執行役員は「他社端末にある機能は全部入れた。守りに入っていると言われるが、我々が一番攻めている」と強調する。
業界2位のKDDIも「ドコモ追撃のために待ちに待った制度」(幹部)と意欲満々だ。ヤマハ製の音源チップを使って楽曲の音質を向上させ、若者層の取り込みを狙っている。
ボーダフォンを買収して参戦したソフトバンクの孫正義社長は「リングに上がる前のボクサーのような心境」と闘争心むき出しだ。ヤフーのポータル(玄関)サイトにつながるボタンをほぼ全機種につけ、インターネットの使いやすさを強調する。
3社が9月に始めた事前予約の出足は鈍く、制度が始まっても乗り換え利用者はそれほど多くないとの見方もある。メールアドレスは持ち運べないし、解約と新規契約の手数料合計で5000円前後の負担がかかるためだ。
それでも民間調査会社MM総研の調査では、持ち運び制利用希望者が11%いた。これが動くだけでもシェアは大きく変動する。ここ数年で20カ国以上が同制度を導入したが、香港では1年で上位1、2位企業がシェアを減らし、フィンランドではトップ企業がさらに伸びたという。
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各社間の競争が激しくなれば、期待されるのが料金値下げだ。固定電話では01年に番号を変えずに会社を変えられる「マイライン」サービスが始まり、料金が劇的に下がった。ところが今回、携帯電話では同じことが起きる兆しは見えない。
昨夏、ソフトバンクが携帯市場に新規参入することが固まったとき、「価格破壊者」となる可能性があると見られた。同社が低料金でADSL(非対称デジタル加入者線)を普及させた実績があるからだ。それが今年3月、自前での参入をやめ、英ボーダフォン日本法人の買収を決めたことで事情が変わった。
ソフトバンクは1兆7500億円という巨額の買収資金のうち、1兆円以上を金融機関から借り入れた。携帯事業そのものを証券化することで長期資金に借り換えるめどはつけたものの、確実に利益を確保することが至上命題だ。利益を圧縮する値下げはしにくい。孫社長は最近、「料金政策については大人になる」と話すようになった。
他社も「価格面で仕掛ける考えはない」(KDDI幹部)との立場で、値下げ競争がおきにくい環境が生まれている。
日本独特の販売慣習も値下げの障害だ。日本の端末メーカーは携帯会社の要求に沿って次々と高機能化を進めているが、コストを反映した価格にしたのでは高すぎて売れない。そこで携帯各社は販売店に奨励金を与えて端末価格の一部を負担し、その分を通話料金に上乗せして回収している。新機種競争が続く限り、この競争モデルから自社だけが簡単には降りるわけにはいかないようだ。
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〈携帯電話の番号ポータビリティー(持ち運び)制〉 いま使っている電話番号を変えずに、契約する携帯電話会社を変えられる制度。通話相手の電話番号などを入力した電話帳は新端末に引き継げるが、メールアドレスやインターネット経由でダウンロードした音楽やゲームは引き継げない。