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2006年10月15日(日) 03時07分

<多重債務>障害年金標的 クレジット会社立て替え契約で毎日新聞

 宮城県に住む難病の50代男性が、障害年金を妻の宝飾品購入の返済にあてる立て替え払い契約を、大手クレジット会社から無断で結ばれていたことが分かった。一家は多重債務に陥り、男性は「公序良俗に反する契約」と同社を訴えた。同社は契約を解消し、既に払われた代金も返還した。
 男性は10年前に筋ジストロフィーを発症し、両手足がまひして会社を辞めた。住宅ローンを抱え、2カ月に1度支給される障害年金約27万円で家族5人が暮らしていた。
 昨年9月、男性は妻から、通りがかった宝飾店の店員に指輪を強く勧められ、分割払いで買ってしまったと打ち明けられた。妻は「健康食品の販売を始めたがまだ収入がなく、夫の障害年金だけで暮らしている」と断ったが、店員に「障害年金を支払いに充てればクレジットの審査が通るから大丈夫」と2時間がかりで説得されたという。
 店はこの大手クレジット会社と加盟店契約を結んでいる。妻は店員の指示で契約申込書を書き、夫の勤務先の欄に「障害年金」、収入欄は空白のままにした。クレジット会社は妻に支払い能力があると判断し、手数料を含め72万円を60回で払う契約を結んだ。
 その後も妻は同じ店員に「あなたが売っている健康食品を買ってあげるから」などと次々に購入を勧められ、契約は5点計200万円に上った。妻は宝飾品を一度も身につけることはなく、月々2万5000円の返済に悩んでうつ病になり、入院した。
 契約を知った男性は支払いの継続を拒否し、クレジット会社は妻に残額の返済を求めて提訴。男性は今年5月、同社に損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。6月、同社は男性の主張を受け入れ、代金を全額返還し契約を解消することで和解した。
 割賦販売法で、クレジット会社は顧客の収入などを審査し、支払い能力を超える契約を結ばぬよう定めている。男性の代理人を務める小野寺友宏弁護士は「障害年金を当て込み、その額を聞いてもいない。まともな審査をしたとは考えられない」と話す。一方、この大手は「顧客の収入などを総合的に判断したうえで契約しており、障害年金しかないからといって審査を通さないわけではない。ただ今回の場合、契約者の状況を踏まえ、キャンセルが妥当と判断した」としている。【多重債務取材班】
(毎日新聞) - 10月15日3時7分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061015-00000005-mai-soci