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2006年10月05日(木) 08時34分

被害者なのに、ローン返済提訴される リフォーム詐欺朝日新聞

 リフォーム業者と契約を結んだ東京と神奈川の高齢者が、代金を支払っていたり、工事がまだ行われていなかったりするのに、信販大手オリエントコーポレーションから支払いを求められ、9月以降、相次ぎ提訴されている。この業者をめぐっては被害者連絡会が結成され、三十数人、総額約2億円の被害を確認している。業者の元経理部長は朝日新聞の取材に「提訴された人は全員、我々が契約書を偽造するなどした被害者。求められれば法廷で明らかにしたい」と話す。

 この業者は「富士商」で、法人登記によると95年6月設立。東京都大田区西蒲田にあった事務所は昨年7月に閉鎖され、元社長の所在は不明。被害者連絡会が元経理部長を捜し当てて説得したところ、「三十数人をだました」と告白したという。

 連絡会の平山都炳(くにあき)事務局長によると、東京地裁への提訴が5件確認された。訴えられたのは、独り暮らしなどの60〜70代で、請求額は平均530万円。第1回口頭弁論はいずれも今月の予定だ。

 横浜市の70歳の夫妻は昨年5月、風呂場を改修し、198万円を支払うローン契約を結んだ。まもなく元社長らが「現金で払えば安くなる。ローンは解約する」と訪れ、夫が約190万円を手渡した。その後、オリコから請求書が届いた。さらに、記憶にない耐震工事代293万円の請求もあり、合計491万円を支払うよう提訴された。

 東京都葛飾区の女性(74)宅には昨年2月、元社長と元経理部長が来て、「耐震工事が必要。今やれば安い」と持ちかけた。女性には銀行の届け出印を渡した記憶がある。その後、「信販会社から電話がある。返事だけして」と言われ、従ったという。

 工事がないまま、オリコを含む信販2社から計1300万円を請求された。明細には「屋根小屋補強工事や床下コンクリート内換気扇工事」とあった。自殺も考えたという女性は「2人に囲まれて怖く、わからないまま印鑑を渡した。裁判と聞いて体が震えた」と話す。

 元経理部長は、これまでの経緯を警察に説明し、信販会社にも文書で伝えたという。「だました一人がその後、体調を崩して亡くなったと聞いた。できることは何でも協力したい。刑事責任もとりたい」と話している。

 《オリエントコーポレーションの話》 提訴中の案件なので、コメントは差し控えさせていただく。

http://www.asahi.com/national/update/1004/TKY200610040527.html