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合鍵製造機は自動車修理工らが使うプロ用で、持ち運びも可能な機種とみられ、こうした合鍵製造機の悪用による自動車盗を警視庁として確認したのは初めてという。同課は新たな自動車盗の手口として警戒を強めるとともに、約三百台は海外に不正輸出され約三億円が暴力団の資金源になったとみており、近く組長らを窃盗容疑で再逮捕し、密輸ルートの解明を進める。狙われたランドクルーザーは「ランクル」の愛称でファンの多いRVで、トヨタの知名度も手伝って海外では中古でも人気が高いという。
詐欺の疑いで逮捕、起訴されたのは、住所不定、暴力団組長斉藤和夫被告(36)ら六人。
調べでは、斉藤被告らは駐車場に忍び込み、ランドクルーザーのドアノブ部分を引き、そのすき間からシリンダーの筒部分に記された番号をのぞき見て、鍵のタイプを把握。市販の複製機で合鍵を作製し、盗みを重ねた疑い。合鍵はわずか十分間足らずで作ることができるという。防犯性が高い電子式の盗難防止装置「イモビライザー」が搭載されていない旧式の車種を選んで狙っていた。
鍵の複製や車の盗みは斉藤被告が担当。別の男らが港まで運搬して不正輸出し、一台当たり約百万円の利益を得ていたとみられる。斉藤被告は鍵の複製手口について「(共犯として逮捕されている)元自動車修理工から聞いた」などと供述しているという。斉藤被告らは〇二年十月、埼玉県菖蒲町で二台の乗用車を追突させ、交通事故が起きたように装い、約一千万円の保険金をだまし取ったとして詐欺容疑で先月、逮捕された。
■短時間で番号のぞき見
わずかな時間でシリンダー番号を盗み見て、市販の機器で複製。まるで所有者であるかのように目当ての車に乗り込み、走り去る−。
自動車メーカーや一般ユーザーにとって盲点ともいえる手口。自動車評論家の国沢光宏さんによると、ある程度自動車の知識があれば、ランドクルーザーに限らず、どこにシリンダー番号が記載されているか知るのは容易で、この番号から鍵を複製するのも比較的難しくないという。
この手口ならば車に一切傷を付けずに運び出せる上に鍵も付いているため、窃盗グループは高値で転売しやすい。さらに国沢さんは「複製の鍵は別の車内などで作るため、犯人グループが実際に狙った車の周辺で何かをする時間が短く、摘発されるリスクが低い」とも分析する。
シリンダー番号は、製造過程で、どの鍵がどの車に対応するかを把握するために必要不可欠なもの。一般ユーザー側の盗難防衛策について、国沢さんは「旧式の車ならば、最新のイモビライザーを付けるか、ハンドルをロックするバーを付けるなどして対抗するしかない」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061005/eve_____sya_____005.shtml