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「情報大航海」。そんな看板を掲げたCEATEC会場の一角では、IT大手の富士通、NTTレゾナント、早稲田大、東京大など10の企業・大学・法人が研究中の検索技術を展示している。大仰な看板は、この官民共同の開発計画を呼びかけた経産省のネーミング。膨大な情報が蓄積されたインターネットから好きなサイトや映像、音楽などを探し出す検索エンジンは「情報の大海原を航海する羅針盤」という意味を込めている。
会場では富士通が映像の検索技術を披露。ネット上にある「カバン」の写真を集め、瞬時に色や形の似たカバンを分類して表示した。この技術を応用すれば、テレビの画像をリモコンで検索し、欲しい商品を選んでネットショッピングを楽しむことも可能という。担当の研究員は「映像検索の分野では、グーグルも画期的な方式が開発できていない。どの企業にもチャンスがある」と、今後の開発成果に期待を寄せる。
検索エンジンは現在、文字で検索するシステムが一般的。グーグル、ヤフー、マイクロソフトの米3社が9割程度のシェアを握っている。
そこで経産省は今年7月、今後普及が見込まれている画像など文字以外による次世代検索エンジンを官民共同で開発し、巻き返しを図ろうと、共同開発に取り組む産学の連合体を発足。参加団体は8月末現在、大学や電機、通信、ネットといった関係企業など計56団体に上る。
年内に計画を具体化し、事業主体を確定。開発費の一部を経産省が助成する方針で、07年度予算の概算要求に50億円を計上した。官民の総投資額は今後3年間で約300億円に上る見込みだ。
ただ、官民相乗りのプロジェクトでは、80年代の学習能力を持った第5世代コンピューター開発や、ソフトウエアの効率的な開発を目指した「シグマ計画」など多額の資金をつぎ込みながら失敗したものが多い。政府内からも成果を疑う声が出ている。
実際、グーグルは今年上半期だけで新しいウェブサービスの研究開発費に5億2915万ドル(約625億円)を投入。マイクロソフトも今期の研究開発費65億ドル(7677億円)のうち、「検索分野にはかなり力を入れる」(同社日本法人)と、ケタ違いの開発費を投入している。「日の丸検索エンジン」の先行きは険しそうだ。