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2006年09月30日(土) 19時40分

韓国弁護士会、初の「北朝鮮人権白書」 拷問の実態も朝日新聞

 韓国の大韓弁護士協会は9月末、脱北者100人からの捜査や裁判の実態の聞き取りを元に論評を加えた初の「北朝鮮人権白書」をまとめた。サンプルが少なく伝聞証言も含まれるが、法を無視した拘禁や拷問の一端が改めて明らかになった。

 00年以降に韓国に入国した人が対象で、刑事裁判の経験者が8人いた。捜査機関による逮捕について90%が「法手続きを順守していない」と疑問視し、聴取・逮捕されると「令状なしに2カ月以上捜査が続く」と答えた人が54%に上った。

 取り調べの拷問についても多くが証言。後ろ手の手錠を鉄格子につながれ、中腰のまま動けない「ハト拷問」や、冬に丸裸で野外で徹夜させられる「冷凍拷問」など多様な方法が列挙された。

 また、出身や職業で区別される社会的な制度「成分」によって捜査や量刑に差別があると多くが答えた。日本の植民地時代の抗日活動家の子供が罪を見逃され、特別良い成分は「白頭山脈」と呼ばれて裁判自体が免除される実例も挙げられた。

 捜査員を市中に忍ばせ、密告を奨励することによる言論の自由の侵害も深刻で、酒の席で「こんな世の中、やってられない」と言った知人が捕らわれ、銃殺刑になったとの証言もあった。

 拘禁施設では強制的な堕胎があり、政治犯収容所では労役が故金日成(キム・イルソン)主席、金正日(キム・ジョンイル)総書記の誕生日などを除いて年間361日、1日12〜15時間科せられると分析した。

 弁護士協会は白書を、国連人権委員会などで問題視されている人権侵害を具体的に改善する材料にしたい、としている。

http://www.asahi.com/international/update/0930/019.html