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【格下げ】
7月末に発表した第1四半期決算で好業績を上げ、復活ぶりをアピールしたソニーだが、市場の視線は厳しい。新光証券は9月7日、投資対象としてのソニーの格付けを最高の「1」から一気に4段階引き下げ、最低ランクの「3」にした。
格下げの理由は、PS3の欧州向けの出荷を今年11月から来年3月に延期すると同時に、年内の出荷台数も当初予定の400万台から200万台に下方修正すると発表したこと。
同証券のリポートでは「クリスマス商戦で出遅れることはPS3の拡販にとっては非常にネガティブな要因」と指摘している。
第1四半期決算の好業績で買われたソニーの株価は、このリポートなどをきっかけに5000円割れ。9月25日には一時、4690円を付け、年初来安値(7月18日の4610円)に近い水準まで下げた。
株価については「買い推奨」を継続している証券会社もあるため、今後の動向が注目される。
【値下げ効果は?】
1週間前の22日、千葉・幕張メッセで開かれた東京ゲームショウ。ソニー・コンピュータエンタテインメントの久多良木健社長(56)は基調講演の中で、11月に発売されるPS3(廉価版)の日本での価格を当初発表の6万2790円から4万9980円へと大幅に引き下げることを宣言した。発売前の値下げは極めて異例のことだ。
サプライズには違いなかったが、久多良木氏が説明した値下げ理由は分かりにくかった。
高すぎるとブーイングがわき起こった当初の価格について、久多良木氏は「まず米国の値段を499ドルに決め、日本円に換算した」と説明。欧米では「高い」という声はないと強調した。
一方で、「『高い』と言われ続けると、(そっぽを向かれて)PS3が目指す夢の世界ができなくなる」と述べ、相次ぐ高すぎ批判に仕方なく値下げを決断したかのような口ぶりだった。
「PS3はゲーム機ではなくコンピューター。(6万円という)価格は安すぎるぐらい」という持論との整合性は説明されないままだった。
この異例の値下げに対する評価はまちまちだ。「経営戦略の甘さに対する不信感につながっている」(中堅証券)という厳しい見方がある一方、「消費者が買いたくなる価格となったことはポジティブ(前向き)材料」(米系証券)、「コストが割高な初期の出荷台数が下がることや、歩留まりの改善でコスト増を吸収できるため、ゲーム事業の収益に影響はない」(欧州系証券)と評価する声も少なくない。
値下げ後も、任天堂の次世代ゲーム機「Wii(ウィー)」の2万5000円と比べて約2倍。米マイクロソフトのXbox360も3万円を切る廉価版を投入してくるため、割高感は否めないが、消費者にとって価格競争は大歓迎。PS3が購入を迷っている消費者を決断させられるかがカギとなりそうだ。
【炎上】
ソニー製のノートパソコン用リチウムイオン電池の問題も深刻だ。
米デルと米アップルコンピュータが、発火・発熱の恐れがあるとして計590万台をリコールしているが、新たに東芝も使用中に電気が通わなくなる恐れがあるとして34万台をリコールした。
さらに米IBMからパソコン部門を買収した中国のレノボでも、ソニー製電池搭載のノートパソコンから出火した。
ソニーは、デルとアップル分の交換用電池などの費用負担が200億−300億円に上るとみている。が、さらに事態が悪化すれば、損失額も大きくなりそうだ。
「品質のソニー」として品質管理を強化し、命運を握るPS3を成功させなくてはいけない。まさに正念場だ。
ZAKZAK 2006/09/29