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被害者が1人の殺人事件では、身代金や強盗などの金品目的の殺人や、殺人の前科があるといった事情がない限り、死刑適用はまれ。女児が犠牲となる性犯罪が相次ぐ中、今回の判決は、死刑適用基準を示した83年の永山則夫元死刑囚への最高裁判決以降の判例の流れより一歩踏み込んだものとなった。
判決は、小林被告が04年11月17日午前10時ごろ、車を運転して大阪府八尾市方面にわいせつ行為の対象となる女児を捜しに自宅を出たと指摘。いったんあきらめたが、その後奈良市で一人で帰宅している被害者を見つけ、わいせつ目的で誘拐したと認めた。
そのうえでまず殺意の発生時期について検討。被害者が小林被告の部屋で宿題の算数問題をすらすら解いたことなどから「このまま帰宅させると犯行が発覚すると思い、強姦した後は殺すしかない」と思うようになったと述べ、女児が風呂場の浴槽から出ようと抵抗したためにとっさに殺意が生じたとした弁護側の主張を退けた。
6月5日の論告求刑で、奈良地検は「全国の保護者らに深刻な不安を抱かせた犯行で、一般予防の見地からも極刑とすべきだ」と主張。殺害後に母親に「娘はもらった」とのメールを送信したり、遺体を傷つけた上で側溝に遺棄したりした一連の犯行の悪質さや、別の女児3人への2件の性犯罪の前科があることに触れ、「矯正は不可能」と結論づけた。
これに対し、弁護側は同月26日の最終弁論で、「殺害に計画性はなく、死刑を選択するまでの凶悪性はない。殺害後の行為も精神的な混乱などが原因」と反論。幼少期からの不遇な成育環境が人格形成に影響を与えたと推察した情状鑑定を根拠に、「被告の責任は減殺されるべきだ。それなりの反省は見え、矯正できる」と死刑の回避を求めていた。
第8回公判(5月25日)では、女児の両親が意見陳述し、「小林からは反省や後悔が見られない。娘が悲しむような犯罪が起きないように極刑以上の刑を与えて欲しい」と訴えた。
一方、小林被告は公判で「死刑を望む」と言い続けた。結審して以降、奥田裁判長あてに「更生する自信がない」「死刑にして欲しい」などと書いた手紙を2度送ったが、地裁は小林被告の弁護人に送り返した。
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〈主な犯罪事実〉
●わいせつ目的誘拐 04年11月17日午後1時50分過ぎ、奈良市内の路上で、小学校から徒歩で帰宅途中の有山楓さん(当時7)を乗用車に誘い入れ、わいせつな行為をする目的で誘拐した
●殺人、強制わいせつ致死 同日午後3時ごろ、奈良県三郷町のマンション自室の浴室でわいせつな行為をした上、殺意をもって、抵抗する女児の頭などを押さえつけて浴槽の湯に沈め、同3時20分ごろに窒息死させた
●死体遺棄 遺体を乗用車に乗せて、同日午後10時ごろ、奈良県平群町の町道の側溝に遺棄した
●脅迫 同年12月14日午前0時ごろ、女児の携帯電話を使い、母親の携帯電話に「次は妹だ」とのメッセージとともに女児の遺体や妹の画像を送信し、脅した
●窃盗 同年6〜11月、奈良県北葛城郡内の住宅など計6カ所から子ども用下着など計31点を盗んだ
●強制わいせつ 同年9月、奈良県北葛城郡内の駐車場で、別の女児の服を脱がせて体を触り、携帯電話のカメラで撮影した
http://www.asahi.com/national/update/0926/OSK200609260011.html