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亡くなった丹波哲郎さん=01年11月、東京都内の自宅で
東京都生まれ。中央大法学部を卒業後、劇団文化座を経て、51年新東宝に入社。翌年、映画「殺人容疑者」でデビューし、陰のある二枚目としておもに悪役で活躍。テレビでは「丹下左膳」の主役で異彩を放った。
60年代にテレビドラマ「三匹の侍」などの個性的な演技で人気を集め、映画では今村昌平監督の「豚と軍艦」のほか、篠田正浩監督の時代劇「暗殺」などに出演し、スターとしての地位を固めた。
また、戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の通訳を務めた英語力を生かし、外国映画にも出演。「007は二度死ぬ」ではショーン・コネリーと共演し、話題になった。
その後も、テレビドラマ「キイハンター」「Gメン’75」のボス役で活躍、映画「砂の器」の刑事役では重厚な演技が高く評価された。近年も大河ドラマ「利家とまつ」「義経」などで、渋みある演技をみせていた。
一方、死後の世界に深い関心を持ち、89年にはベストセラーとなった著書を「丹波哲郎の大霊界」として自ら映画化した。
〈映画評論家・白井佳夫さんの話〉 ふてぶてしく、居直り、人間の下卑た部分を出せる異色の俳優だった。社会派映画や芸術映画、娯楽作品を問わず、役に扮するのでなく、個人としての丹波哲郎がいつも役作りを超えてにじみ出た。「砂の器」や「豚と軍艦」などでも、丹波さんならではの動物的な生臭さを見せた。
〈出演作を多数手がけた中島貞夫監督の話〉 外見はバタくさいが、本人は義理堅い日本の男。ワンシーンだけの友情出演で京都まで来てくれたこともある。車代を渡そうとしたら、「おれはそんなつもりで出たんじゃない」と泣いて怒った。霊界の話もよく聞かされた。「霊界に行くときはお前が撮れ」と言われていたんですが、果たせませんでした。