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消費者金融に対する規制強化案が自民党で決まり、臨時国会に貸金業規制法などの改正案が提出される見通しとなった。法案をめぐっては利用者、業者の双方からさまざまな要望が出ていた。上限金利の維持か、切り下げか。「約100万人」(県貸金業協会)の利用者がいる県内で、このテーマに取り組んできた県弁護士会消費者問題委員会副委員長の拝師徳彦弁護士(36)と県貸金業協会の高橋亘会長(52)に、新たな改正案への評価と、取り組みなどについて聞いた。(桂禎次郎)
【県弁護士会消費者問題委員会副委員長 拝師徳彦さん】
上限金利の引き下げは歓迎だが、利息制限法の金利の適用区分が変わり、元本によっては上限金利が引き上げとなった点は大問題。多重債務問題の解決に逆行する。国会では、改正案から外してもらいたい。年収の3分の1を超す貸し付けに行政処分ができるようにした点は評価する。
業者は金利引き下げで経営難に陥るというが、そもそも高金利融資のニーズとは何か。借り手は、まずアクセスしやすい大手に借り、その後、中小の業者に手を出す。数千人が借金苦で自殺している現実を踏まえれば、現在の高金利でしか経営できない業者は、市場からの撤退もやむを得ない。
消費者金融の利用者は4分の3が年収500万円未満。例えば入院費や生活費などを消費者金融に頼ってきた。本来、社会福祉でやるべき部分を消費者金融が負ってきた面は否めず、福祉的な貸し付けなど、公的なセーフティーネットの充実を図るべきだ。
県内では、京葉地域に給与所得者、房総に自営業や農家の相談者が多い印象がある。給与所得者に比べ、自営業者らは親類などを連帯保証人として多重債務に陥っているケースも目立つ。
【県貸金業協会長 高橋亘さん】
今回の案には、失望感でいっぱいだ。金利を下げさえすれば多重債務問題が解決するという間違った論に押し切られた。
金利の低い大手業者から借りられなくなり、中小業者を訪ねる借り手は少なくない。中小業者としては、リスクを踏まえると、29・2%近い金利で貸すしかない。それで多重債務に陥る利用者もいるが、感謝されることも多い。社会的に必要な融資。それをできなくする政策が正しいのか。県内には約100万人の消費者金融の利用者がおり、影響は少なくない。違法なヤミ金融が増える可能性もある。
県協会加入185業者のうち、約150業者は1店舗のみで営業を行う中小業者。その大半は貸出残高も推定1億円未満。県内には現金自動出入機(ATM)のみの店を含め、約870の店舗があるが、約700店舗をカバーするのは約30社の大手だ。今回の措置でしわ寄せを受けるのは中小業者だ。
誤解されているが、中小業者のビジネスモデルでは、貸付額の2割は人件費などの諸経費や貸し倒れでロスになる。大手はともかく、金利20%ではもうけの余地は、ない。業者は廃業を迫られ、融資枠の縮小、貸し渋りは避けられない。
【上限金利25.5%の特例も】
最大の焦点だったのは貸金業の上限金利。刑事罰対象となる出資法の年29・2%に対し、刑罰規定のない利息制限法は年15〜20%を規定。利限法違反であるはずの、20〜29・2%の灰色金利(グレーゾーン金利)の扱いが注目された。消費者金融の多くが、このゾーンで貸していた。今回の案では、出資法の上限金利を年20%に下げる。また、年収の3分の1を超す融資を原則禁止とし、高金利・ヤミ金融への罰則も強化。一方、少額・短期(個人向け元本30万円以下・期間1年以内)の融資には上限金利25・5%の特例をもうけた。利限法の上限金利(15〜20%)を適用する元本区分も、物価上昇を理由に引き上げた(20%が適用できる額は10万円未満から50万円未満に)。
【苦情 昨年度は2427件】
県県民生活課によると、知事登録(営業拠点が県内だけ)の貸金業者(法人、個人)は7月末で309。90年代初めのピーク時は1000を超えたが、規制強化などで減った。県に寄せられる消費者金融についての苦情・相談件数は05年度が2427件。03年度の3692件以降、やや減少傾向とはいえ、高い水準にある。
http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000609250001