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2006年09月24日(日) 20時00分

「親が拒否でも輸血」75% エホバの証人信者の子に山形新聞

 輸血拒否を教義とする宗教団体「エホバの証人」の信者への対応指針を持っている病院のうち、75%が「親が子供への輸血を拒否しても、救命に必要なら輸血に踏み切る」としていることが24日、兵庫県立こども病院麻酔科の香川哲郎医師による調査で分かった。
 8%の病院は信仰に基づく親の意思を尊重し「輸血しない」と回答。一般的に治療には親権者の同意が必要とされるが、親の意思が子供の生きる権利とぶつかった場合にどう対応すべきか、法的、倫理的な側面から論議を呼びそうだ。
 一般の病院では対応指針もないケースが少なくないとみられ、子供の治療を受ける権利が守られているか懸念する専門家もいる。
 調査は3月、日本小児麻酔学会の評議員が在籍する大学付属や小児専門などの計89病院を対象に実施、64病院が回答した。エホバの証人への対応指針を持っているのは40病院だった。
 この40病院に、2歳の子供を想定し、輸血以外に救命手段がないのに親が拒否した場合の対応を尋ねたところ、「輸血する」が30病院(75%)、「輸血しない」が3病院(8%)だった。7病院は「子供に関する規定がない」などの理由で明確な回答がなかった。
 子供の年齢を18歳とし、本人が拒否した場合の対応では「輸血する」が13病院(33%)、「輸血しない」が23病院(58%)と逆転。大人と同様に自己決定を尊重する傾向がみられた。
 指針の中で、子供に関する規定を設けているのは29病院。子供の定義は「16歳未満(または以下)」が最も多かったが、12歳から20歳までばらつきがあった。
 2005年に、エホバの証人が関係する18歳以下の患者の手術は、12病院で23件が報告された。実際に輸血を見送ったケースがあったかは質問しておらず不明。
 エホバの証人の信者は国内に22万人いるとされる。
 香川医師は「調査では、親の同意に基づかない輸血の是非を司法が判断する仕組みなど法整備を求める声も寄せられた。医療現場は対応に苦慮しており、社会全体で解決策を探っていく必要がある」と話している。

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