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2006年09月23日(土) 03時01分

松本弁護団は「訴訟妨害」、高裁が来週にも処分請求へ読売新聞

 死刑が確定したオウム真理教の松本智津夫死刑囚(51)の控訴審を担当した弁護士2人について、東京高裁(須田賢裁判長)は、「刑事訴訟法に違反して控訴趣意書の提出を拒み、訴訟手続きの進行を妨害した」として、来週にも弁護士会側に処分を求める「処置請求」を行う方針を固めた。

 裁判所が弁護士会に弁護士の処分を請求するのは17年ぶり。結果的に被告の死刑を確定させることになった弁護活動を行った弁護士に、弁護士会側がどのような措置をとるかが注目される。

 複数の関係者によると、処置請求の対象となるのは、主任弁護人の松下明夫弁護士(仙台弁護士会)と、松井武弁護士(第2東京弁護士会)。松本死刑囚の2審弁護団は7人だったが、他の5人は趣意書の提出期限の後に選任されたことから、対象外とされた。請求の相手方は、日本弁護士連合会か、各所属弁護士会のいずれかとなる。

 両弁護士は、松本死刑囚が2004年2月に1審で死刑判決を受けた後、控訴審を担当。同高裁は趣意書の提出期限を05年1月と指定したが、両弁護士は、「被告と意思疎通できず趣意書は作成できない」と延期を求め、期限は同年8月末まで延長された。ところが、両弁護士は、期限日に趣意書を持参しながら、高裁が行う精神鑑定の方法についての要求が認められなかったため、提出を拒否。その後も高裁からの提出勧告に応じなかった。

 この結果、同高裁は今年3月27日、趣意書の不提出を理由に控訴棄却を決定。高裁への異議申し立てや、最高裁への特別抗告も認められず、今月15日、松本死刑囚の刑が確定した。

 刑事訴訟規則は、弁護人が違法に裁判の迅速な進行を妨げた場合、裁判所は日弁連か所属弁護士会に、処分などの適切な処置を請求できると定めている。松本死刑囚の控訴棄却に対する異議審の決定でも、東京高裁は「趣意書の不提出という実力行使は、訴訟手続きの進行妨害にほかならない」と指摘しており、今回の処置請求は、両弁護士の一連の弁護活動が裁判の妨害行為に当たると判断されたためとみられる。

 処置請求は、1960〜70年代の学園紛争などに絡む事件の裁判で相次いだが、弁護士会が適切な処分を行わず、事実上空文化。89年、体調不良を理由に公判に出席しなかった弁護士に対する請求を最後に請求例はなかった。

 しかし、3年後の裁判員制度の導入を前に、最高裁は05年5月、意図的な遅延行為には積極的に処置請求を活用していく方針を打ち出し、日弁連も今年3月、新たな規則を制定。処置請求に対し、原則3か月以内に、除名や業務停止などの懲戒処分の必要性や、助言・勧告といった指導を行うなどの結論が出されることになった。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe4900/news/20060923it01.htm