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2006年09月23日(土) 00時00分

IP電話、もろさ浮き彫り 総務省、安定通信へ作業班朝日新聞

 光ファイバー回線を使ったNTT東日本のIP(インターネット・プロトコル)電話「ひかり電話」が東日本全域でつながりにくくなった障害は、19日から3日間続き、21日夕にようやく復旧した。IP電話は、従来の固定電話に取って代わって通信網の主役になると期待される技術なのに、もろさが浮き彫りになった。今回以外にも障害は頻発しており、このままではブロードバンド(高速大容量)通信の普及の妨げになりかねないと、総務省や関係業界は対策を急ぐ構えだ。

 総務省は22日、IP網の安定性向上を図るための作業班を立ち上げた。初会合に出席した雄川一彦・NTT担当部長は「IP網はまだ発展途上。ネットワークが満たすべき技術基準を検討していきたい」と述べた。作業班は障害の頻発を受けて設けられ、来年3月に具体策をまとめるが、NTT東の大規模障害には間に合わなかった。

 今回の障害は19日朝、サーバーの一つに通常の約3倍にあたる通話などの発着信があったのがきっかけ。サーバーが機能不全にならないように組み込まれている自動発信規制がかかり、11時間近くつながりにくくなった。20日は、別のサーバーが、処理能力の範囲内の発着信にもかかわらず正常に動かなくなった。21日も再発防止のため、IP網の外との発着信を最大50%制限した。

 約80万人の利用者への影響は大きかった。東京都台東区の貸しビル業の男性は「『着信拒否をしているんじゃないか』とお客さんから怒られた。文句を言おうにも電話がつながらない」と言う。NTTへの苦情や問い合わせは4万3000件を超え、補償を求める声も出ているという。

 NTT東は22日、一部のプログラムにミスがあったのが一因だと発表したが、完全な原因究明はできていない。

 現在のIP技術は障害に弱い構造。固定電話網の交換機は障害の原因を見つけやすく復旧も早いが、IP電話はソフトウエアの問題が障害につながることが多く、原因を特定しにくい。通信網を管理するサーバー数も交換機より少なく、被害が拡大しやすい。

 総務省によると、IP電話の障害は05年度に27件発生し、04年度の5件から急増。3月末にはNTT西日本の約39万回線が11時間つながりにくくなった。

 今回の障害はIP電話に力を入れるNTTの戦略を揺るがしかねない。昨年ひかり電話を導入した東京都板橋区役所は「従来の固定電話に戻すことも検討中」(総務部)という。KDDIなどもIP電話化を進めており、影響は通信業界全体に及ぶ可能性もある。

http://www.asahi.com/digital/av/TKY200609230081.html