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「西村氏は8月中旬から携帯電話に出ないし、メールを出しても返事がない。債権者が破産申し立てする動きもある」
かつて2ちゃんねるの運営にも携わった、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は明かす。
西村氏が平成10年に開設した2ちゃんねるは、利用人口1000万人と人気を集める一方で、匿名という性格上、名誉棄損やプライバシー侵害、著作権を侵す書き込みなども散見される。削除依頼しても放置されて訴訟にまで発展する場合、相手は西村氏個人となる。
「西村氏の自宅とされる住所に人が住んでいる気配はなく、裁判所にも出頭してこない。仮処分が出ても何もしてくれないし、まるで独り相撲」
東京都の男性会社員(35)は怒りをあらわにする。男性は数年前から掲示板で本人や家族の実名、住所を暴露され、誹謗(ひぼう)中傷を受けてきた。今年8月、書き込みを行った発信者の情報開示を求める申し立てを東京地裁に行ったが、管理者の西村氏が裁判所に現れることはなかった。
今月、開示を命じる仮処分が出たが、西村氏の対応はないまま。西村氏には間接強制で1日5万円ずつ、制裁金も加算されている。
西村氏の“自宅”ポストわきには弁護士からの郵便物などが山積み こうした“独り相撲”の原因は呼出状、仮処分命令書などが受取人不在で届かないため。西村氏の登記上の住所は東京都新宿区新宿のマンションだが、「引っ越したと聞いた」(関係者)。郵送物は同区西新宿の古アパートの一室に転送されるよう手続きされている。
風呂なし、トイレ共有で家賃は「2万8000円」(住人)という部屋に「人の出入りは全然見たことがない。たまった郵便物が減っているので、たまに来ているのかも」(同)という状態だ。ある原告の弁護士も「訴状すら見ていない」と不満を口にする。
「訴訟で負け続け、損害賠償の不払いが膨らみすぎて逃げた」とみる関係者もいる。西村氏が抱える債務は、化粧品会社「ディーエイチシー(DHC)」の700万円をはじめ総額2000万円以上ともいわれるが、これまで西村氏は事実上、判決を無視。週刊誌で「払える余力があっても払わない。相手からすれば債権だけど、こちらにとっては義務じゃない」と持論を展開し、ビタ一文払っていない。
こうした場合、資産の差し押さえなどの措置がとられるが、DHCの担当弁護士は「回収できたのは一部だけ。被告が西村氏個人なので、個人口座や不動産などの特定は難しい」と困惑する。
音信不通の影響はこれに留まらない。著しい誹謗中傷、自殺や犯行の予告などの書き込みは、警察の求めに応じてプロバイダーが発信者の記録を開示する義務があるが、「このところ西村氏と連絡が取れず、迅速な対応が取りにくい」(警視庁関係者)。この関係者は「野放し状態となれば、どこかが法的な規制に動くのでは」と、掲示板閉鎖まで示唆する。
雲隠れ状態の西村氏だが、自身のブログはこまめに更新しており、健在ではあるようだ。
ある原告は「2ちゃんねるは建前上、個人運営だが、掲示板に貼られる広告料などは西村氏の会社に入っている。2ちゃんねるでもうけながら、管理者として社会的な責任を果たさないのは許せない」と疑問を呈する。
井上氏は「西村氏は『裁判に勝とうが負けようが個人の責任』と答えるだろう」と推測したうえで、次のように話す。
「2ちゃんねるはかつてニュースの発信地だったが、今は悪ふざけの温床でしかない。西村氏自身、前から『いつやめてもいい』と話しており、すでに手に余している気がする。半匿名のコミュニティーサイト『ミクシィ』のユーザーが拡大したし、もう役割を果たしたのではないか」
ZAKZAK 2006/09/22