2006年09月21日(木) 13時59分
<商標判決>「赤毛のアン」の登録は無効 知財高裁(毎日新聞)
小説「赤毛のアン」のタイトルを商標登録できるかが争われた訴訟で、知財高裁は20日、登録を認めない判決を言い渡した。塚原朋一裁判長は「評価や名声を保護することが国際信義上要請される場合には、著作物と何ら関係ない者が行った商標登録は認められない」との一般的な判断基準を示した。作品名を商標登録する便乗商法に待ったをかけた形だ。
「赤毛のアン」を映画化したカナダの映画会社は01年、原作の英語タイトル「Anne of Green Gables」を、スロットマシンなどに使う商標として日本で登録。これに対し、小説の舞台であるカナダのプリンス・エドワード・アイランド州政府が登録無効を日本の特許庁に訴え、特許庁は04年に訴えを認めて登録無効の審決をしたため、映画会社側が審決取り消しを求めて提訴していた。
映画会社側は「商標は『赤毛のアン』を揶揄(やゆ)するものではない」と主張したが、判決は商標法上の「公序良俗を害するおそれがある商標」に当たると判断。「カナダの誇る重要な文化的遺産。原作者や主人公の名声や評判を損なうおそれがあるような商標の登録を認めるのは、日本とカナダの国際信義に反する」と退けた。
「赤毛のアン」はカナダのL・M・モンゴメリーが1908年に発表した小説。孤児の少女アンの成長を描き、日本でもロングセラーになっている。【高倉友彰】
(毎日新聞) - 9月21日13時59分更新
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