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タイの政治は過去、政局が混迷するたびに軍がクーデターを起こすという繰り返しだった。しかし、92年、軍事政権と民主化を求める市民が衝突して多くの犠牲を出し、プミポン国王が裁定して民主政権が発足して以降は、軍は政治への介入を控えてきた。タクシン政権の誕生以降もそれは続いてきた。
その状況を変えるきっかけをつくったのは、首相一族の株取引疑惑だった。度重なる国王の「忠告」にもかかわらず強引な政治手法を続ける首相の姿勢に対して、市民の間に一気に不満が高まり、首相派と反首相派の対立は抜き差しならなくなった。
このころから、「社会対立の解消」を口実にした軍による介入のうわさが絶えなくなった。これに対し、首相は軍の人事への介入で対抗をはかり、自分の側近だけで軍幹部を固めようとした。この動きが最終的に、軍内部の反タクシン派を直接行動に走らせたとみられる。
首相は首都に非常事態を宣言し、軍内の親タクシン派を総動員して事態を収拾しようとしているが、市内では両派の衝突がすでに起きているという情報もある。
ただ、政局の混乱の中でもクーデターを望む市民は少なく、軍の行動が支持を得る可能性は少ない。軍の介入で一層、社会が混乱に向かう可能性も否定できない。