2006年09月17日(日) 20時46分
<毎日世論調査>裁判員に「参加」回答51%に 課題も残る(毎日新聞)
毎日新聞が実施した全国世論調査(面接、9月1〜3日)によると、裁判官と一緒に重大な刑事裁判の審理をする裁判員に選ばれた場合に、51%の人が「参加する」と回答した。04年9月の前回調査に比べて10ポイント増えたものの、なお46%の人が「できれば参加したくない」と答え、裁判員制度を「評価しない」という人も6割に達した。09年春の制度スタートに向け、国民が参加しやすい環境の整備と広報活動の一層の推進が、引き続き大きな課題であることを示した形だ。
裁判員は、選挙権のある人の中から無作為で選ばれ、一定のやむを得ない理由がない限り原則として辞退できない。調査によると、裁判員に選ばれた場合に「積極的に参加する」と答えたのは17%(前回調査17%)▽「義務なので参加する」は34%(同24%)だった。両者を合わせると過半数の51%に達した。
「できれば参加したくない」という回答は46%で、前回調査の56%より減少した。男女別にみると、男性43%に対し、女性は49%に上っている。女性の割合が高いのは、男性に比べて育児や介護の負担が大きいことも背景にあるとみられる。
設問が違うために単純な比較はできないが、昨年2月の内閣府の調査では70%、今年1〜2月の最高裁の調査では62%が「参加したくない」と答えた。参加に消極的な人は少しずつ減る傾向にあるとはいえ、なお半数前後を占めており、仕事、育児、介護などを抱える人たちの負担をどのように軽減するか、早期に目に見える形で示す必要がありそうだ。
一方、裁判員制度を「評価する」と答えたのは34%で、「評価しない」の60%を大きく下回った。「評価しない」と答えた人に理由を聞いたところ「判決が感情に左右されるおそれがある」が43%▽「専門性が必要」が41%▽「裁判員になりたくないから」が13%だった。国民の司法参加を実現し、市民感覚を裁判に反映させるという制度の趣旨が、いまだに十分浸透していないことが浮き彫りになっている。【森本英彦】
(毎日新聞) - 9月17日20時46分更新
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