2006年09月16日(土) 10時38分
<酒気帯び>死亡事故の被告に「割り増し」判決 大阪高裁(毎日新聞)
酒気帯び運転で死亡事故を起こし、業務上過失致死と道交法違反の罪に問われた大阪府内の内装業の男(35)に対し、大阪高裁は14日、懲役1年とした1審・大阪地裁判決を破棄して懲役1年6月を言い渡した。白井万久裁判長は「やはり時節柄というか、そう簡単には済まされない。1審の刑期は軽すぎると言わざるを得ない」と付言した。被告側は、福岡市で幼児3人が死亡した飲酒運転事故後の厳罰化の流れが量刑に影響したとみており、弁護人は「世論に左右されるのはおかしい」と話している。
判決によると、男は05年10月21日午前7時10分ごろ、同府豊中市内を軽トラックで走行中、安全確認を怠ったまま車線を変更。後続のバイクを転倒させ、男性(当時45歳)を死亡させた。未明に500ミリリットル缶の発泡酒を3本飲み、3時間ほど寝た後、運転していた。
白井裁判長は量刑理由で、男に違反歴があることなどを挙げ、判決理由に続いて「(飲酒運転は)最近、非常にやかましく取り上げられており、厳しく責任を問われる」と述べた。
大阪地裁は今年2月、懲役2年6月の求刑に対し、男に懲役1年の実刑を言い渡した。被告側は刑が重すぎるとして、検察側も量刑を不当として、控訴していた。
弁護人は「こういう時期でなければ執行猶予がついた事案だろう。裁判官は人権のとりでであり、世論に判断を左右されるのはおかしいのではないか」と話している。【中本泰代】
井戸田侃・立命館大名誉教授(刑事訴訟法)の話 量刑の基準はあるようでなく、判断は難しい。過去の同種事件と大幅に異ならないよう「法の下の平等」を前提にしながら、最近の世の中の動きも考えなければならない。ただ、「世の中の動きに盲従している」ととられかねないことを裁判官が法廷で言うべきでなかった。
(毎日新聞) - 9月16日10時38分更新
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