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2006年09月15日(金) 22時22分

オウム・松本被告、死刑が確定…特別抗告を棄却読売新聞

 地下鉄・松本両サリン、坂本堤弁護士一家殺害など13事件に問われ、1審で死刑判決を受けたオウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫被告(51)について、最高裁第3小法廷(堀籠幸男裁判長)は15日、控訴趣意書の未提出を理由に控訴を棄却した東京高裁決定を支持し、弁護側の特別抗告を棄却する決定をした。

 特別抗告の棄却決定には不服申し立てはできないことから、松本被告の死刑が確定した。27人が犠牲になった未曽有の事件を引き起こした「教祖」の裁判は初公判から10年5か月を経て終結した。

 決定は、堀籠裁判長、上田豊三、藤田宙靖、那須弘平各裁判官による全員一致の意見。決定文は同日午後3時半すぎ、東京拘置所の松本被告に送達された。1審で死刑となった被告の控訴審が手続き上の理由で打ち切られ、確定するのは、最高裁に統計がある1966年以降初めて。

 松本被告の裁判は、96年4月に東京地裁で初公判が開かれ、2004年2月、死刑判決が言い渡された。控訴審では、弁護側が「被告には訴訟能力はない」と主張して期限内に控訴趣意書を提出しなかったため、東京高裁は06年3月、一度も公判を開かないまま控訴を棄却。弁護側の異議申し立ても同高裁が退けたため、弁護側が最高裁に特別抗告していた。

 特別抗告審では、〈1〉松本被告に訴訟能力があるか〈2〉控訴趣意書の未提出にやむを得ない事情があったか〈3〉不適切な弁護活動による不利益を被告に負わせることが許されるか——の3点が争点となった。

 決定はまず、訴訟能力について、1審公判での松本被告の発言内容や、死刑判決を受けた日に拘置所で「なぜなんだ。ちくしょう」と叫んだことに加え、脳波検査で異常がないことなどを総合判断し、「訴訟能力はある」と認定した。

 趣意書の未提出については、「すでに作成していたのに提出しなかったもので、やむを得ない事情があったとはいえない」と指摘し、「被告と意思疎通が出来なかったことも未提出を正当化する理由にはならない」と述べた。

 また、弁護人の行為の結果、被告が裁判を受ける権利を奪われたことについて、決定は、弁護団が被告自身が選任した私選弁護人だったことを重視。「私選弁護人の行為の結果は、不利益なものでも被告に及ぶ」と述べた上で、「被告は自ら弁護人と意思疎通を図ろうとしておらず、責任は被告にもある」と付け加え、死刑の確定もやむを得ないと結論づけた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060915it11.htm