2006年09月15日(金) 14時26分
<厚生年金>267万人未加入 事業所届出さず 総務省勧告(毎日新聞)
厚生年金への加入が義務付けられている事業所の約3割が加入の届け出をしていないために、約267万人の従業員が同年金未加入と推計されることが15日、総務省の実施した行政評価調査によって分かった。加入漏れの従業員は、対象者約3516万人の7.6%と推計され、中小企業が多いと見られる。社会保険庁は未加入の事業所や従業員の数などを把握しておらず、総務省は「組織的な取り組みが足りない」と批判。同日午前、厚生労働省に対し、改善策を取るよう勧告した。
厚生年金は、事業所とそこで働く人が折半して保険料を負担しており、従業員5人以上の事業所は原則として加入する義務を負っている。
総務省は昨年8〜11月、社会保険庁と各地の23社会保険事務局に聞き取り調査したほか、すべての事業所が加入しなければならない雇用保険や総務省の就業構造基本調査などのデータを基に、厚生年金の加入漏れの実態を試算した。
その結果、厚生年金の加入義務があるのに届け出をしていない事業所は約63万〜70万あると推計され、対象事業所全体の約3割に上った。将来、同年金を受け取れない従業員は、約267万人と推計されるという。
社会保険庁は04年度、未加入の約10万3600事業所に加入するよう指導したが、そのうち届け出をしたのは、わずか2.5%。それでも、事業所へ立ち入り検査したのは、05年度でわずか11件にすぎなかった。
このため、総務省は立ち入り検査や職権による強制加入を促進するよう勧告。未加入事業所を把握する作業も、旧態依然の紙の登記簿を閲覧するなどの怠慢が原因と厳しく指摘。雇用保険と厚生年金のデータを照合できる電算システムを整備したり、すでに法務省が電子データ化している商業・法人登記情報を活用するなどの改善策を取るよう勧告した。
また、同年金の未収金が96年度の2800億円から04年度は3500億円に増加しているとして、厚生年金と雇用保険の徴収事務を一元化するなど、事務効率を強化するよう勧告した。
【葛西大博】
(毎日新聞) - 9月15日14時26分更新
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