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ATM手数料の仕組み
三菱東京UFJ銀行は東京スターに対し、自行の顧客が東京スターの無料ATMを利用できる契約を10月1日で打ち切る、と通告した。
■相互扶助か
契約解除になれば、三菱東京UFJの顧客は東京スターのATMで現金の引き出しなどができなくなる。他行も三菱東京UFJに追随する考えとみられる。
騒動の背景にはATMを相互接続する銀行間でとり決めた手数料のシステムがある。一般に、A銀行のキャッシュカードを持つ顧客が異なるB銀行のATMで預金を引き出すと、顧客は引き出したB銀行に手数料を支払う。A銀行もB銀行に銀行間手数料を支払う。B銀行は、A銀行と顧客の両方から手数料を取る仕組みだ。
無料ATMは顧客からは手数料を取らないが、カードを発行した銀行からは手数料を取る。無料ATMを使う顧客が増えると、三菱東京UFJなどが東京スターに支払う手数料負担が増えることになる。
全国地方銀行協会の瀬谷俊雄会長(東邦銀行頭取)は13日の定例会見で、無料ATMに対し「非常に釈然としない」と不快感を示した。地道にATM網を広げてきた相互扶助の仕組みに参加しながら、自分だけ顧客を集めやすいやり方は「道義的に許せない」(瀬谷会長)というのだ。
■全国に1000台
一方、東京スター関係者は、同行の顧客が他行を使う際には銀行間手数料を払っており、問題はないとの考えだ。
東京スターは8月末現在、全国で1121台の無料ATMを自前で展開。07年2月までに、コンビニのサークルKサンクスと組んで首都圏の同コンビニ内だけで約1400台の無料ATMを出す計画も進める。
大垣共立銀行(岐阜県大垣市)、三重銀行(三重県四日市市)もサークルKサンクス内で無料ATM網を広げるが、他行の反発は強く、「契約内容の見直しを迫られている」(大垣共立銀)という。
新生銀行も他行の顧客の手数料を取っていなかったが、今年3月末に有料に切り替えた。ある大手行幹部は「厳しく交渉した成果」と明かす。
■内輪の論理
「本来は自行を無料にするような競争をするべきなのだが」。ある銀行幹部は無料ATMの見直しを迫る業界の内輪の論理にあきらめ顔だ。顧客不在のまま進む論争をきっかけに、手数料の見直し論議に発展する可能性もありそうだ。