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養鶏場のサルモネラ菌を一斉に調査した例は過去になく、汚染の実態が全国規模で明らかになるのは初めて。調査は、3269万円の費用の全額を農水省所管の助成金から受けて行われた。
昨年3月にまとめた報告書などによると、調査対象は全国に約3600ある採卵養鶏場の戸数から都道府県ごとに1割程度抽出した養鶏場。そのうち調査に協力した204養鶏場が、それぞれ50羽分の鶏のふんと鶏舎の換気口、換気扇に付いたちり、ほこりを2検体ずつ提供した。
その結果、15養鶏場の鶏ふんと、48養鶏場のちり・ほこりからサルモネラ菌が検出され、いずれかで陽性だったのが54あり、全体の26.5%に上った。さらに10万羽以上の大規模養鶏場では80のうち27養鶏場と、3分の1以上が陽性だった。
54養鶏場から検出されたサルモネラ菌株のうち半数以上は日本で過去に食中毒を起こしたタイプだが、最も多く食中毒を起こすサルモネラ・エンテリティディス(SE)菌は1株だけだった。
専門家によると、サルモネラ菌に感染した鶏は高い場合で数%程度の確率で感染卵を産むという研究報告があるという。
欧米で定期的に行われているサルモネラ菌の全国調査は日本では行われておらず、汚染の疑いが高い場合などに自治体や業者が個別に調べているだけだ。このため農水省は、生産から販売現場までの微生物汚染の調査を来年度から5年かけて行う方針で、8700万円の予算を要求した。
一方で、日本養鶏協会は調査をもとに会員向けの感染防止マニュアルを作ったが、調査結果は公表しなかった。「鶏卵の多くが汚染されているかのような誤解を消費者に与える恐れがあったためだ」と説明している。
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〈キーワード:サルモネラ菌〉 牛や鶏の消化器に付く細菌で、肉や卵に感染することがある。2501種類のうちSE菌やサルモネラ・ティフィムリウム(ST)菌など少なくとも20種類以上が、体力の弱い人に下痢や高熱などを起こすことがあり、日本人の食中毒の代表的な原因菌。血液に入ると敗血症などでまれに死亡し、国内で年平均1人程度の死者が出ている。7月にはSE菌に感染した大阪府の女子児童(9)が死亡し、食べた生卵との関連が疑われている。