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PLCは、家庭や職場の電気配線を使ってネット接続する技術。電源コードがネット回線を兼ね、余分な工事なしでネットが使える。テレビとハードディスクレコーダーをつなぐ配線が消え、電話機もコンセントでつなげるようになって、どの部屋にも移せるなどの利点が期待される。政府も01年の「e—Japan重点計画」に盛り込んで推進してきた。
電源コードとコンセントの間にPLCモデムという装置をはさんで利用する。このとき、電気配線がアンテナのように振る舞い、短波放送や天文観測に使われる周波数帯のノイズが出るのが欠点だ。計画当初から短波放送局やアマチュア無線家、天文学者から反対の声が続いていた。家庭への高速インターネット引き込み回線としての利用は見送られ、家庭や職場の屋内活用だけが検討されていた。
専門家の委員会に反対意見が寄せられ、信号強度の制限を強める規制値案がまとまったことを受け、総務省が電波行政を左右する電監審に諮問。電監審が、最終判断の場となっていた。
今回の答申では(1)装置の許可に当たり、他の通信に妨害を与えないとする資料提出や説明を求める(2)混信が起きた場合に対応できる総務省の体制を整備する(3)必要な場合は、技術基準を見直す——を総務省に求めた。
通信機器メーカーは、すでにPLCモデムを完成し、許可を待つばかり。10月の電子機器展示会で「家庭の各部屋が、便利で簡単にネット接続できる」点を披露する。テレビなどには、出荷時から組み込まれることが見込まれ、4年後に600万台の出荷があるという推計もある。
会長の羽鳥光俊・中央大学教授は審議後の会見で「反対意見に対して十分配慮した」と話した。