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都合の悪いことはなるべく小さく発表したいということなのか、6日に行われた久多良木健SCE社長によるPS3の発売再延期の発表は、同社本社で一般紙記者や内外の通信社など約20人だけが集められた。同社の記者会見では、新聞、テレビ、ゲーム雑誌、ネット媒体など少なくとも200人は集まるのが通常となっている。
「急きょ会見を設定して、会場がなかったので…」と広報担当者。ただマスコミ向けのリリースもSCEヨーロッパのみで、国内での文書発表はなし。「欧州だけのことなので」(同)と説明するのだが、実際には国内の影響も小さくない。
11月11日の国内販売初日の出荷は10万台、年内でも100万台に限定される。平成12年のPS2では、発売当初の3日間で100万台を出荷しており、当初は大幅な品薄となるのは確実だ。
来年3月末までに世界で600万台出荷という当初目標は変更しないとしているが、発売中の米マイクロソフトのXbox360に加え、任天堂も年内にWii(ウイー)を投入する中、日米欧のクリスマス商戦で出遅れることになる。
1本10億円以上といわれる開発費用を投じている内外のゲームソフト会社にとっては、ハードの販売拡大の遅れは死活問題だ。
ソニーなどが推進する次世代DVD規格「ブルーレイ・ディスク(BD)」の再生機能を持つPS3は、BD普及の切り札とされる。8月末にハリウッドや国内映画会社がBDソフト75作品を11月以降に発売すると華々しく発表したのもPS3をあてにしたものだ。先行する対抗規格「HD DVD」への巻き返し戦略も練り直しを余儀なくされそうだ。
深刻なのは、延期の原因がBDドライブ(駆動装置)に用いる青紫色レーザーの半導体の量産が遅れていること。作っているのは親会社のソニーだ。久多良木氏は会見で「本当は(発売延期の原因となった)ソニーの担当者が(記者会見に)来るべきだが来ていない」とカンカン。ソニーの製造技術や能力が落ちたのではとのマスコミからの質問には、「現時点ではその通りかもしれない」と答えるなど、穏やかでない心中がありありだった。
ソニーはノートパソコン用リチウムイオン電池の発火問題を起こしたばかり。技術力への信頼も揺らぎかねない。
テレビは復活に向けて着実に歩んでいるが、戦略商品のBDとPS3でゴタゴタが続けばソニー復活の足かせとなりかねない。
ZAKZAK 2006/09/07