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[看守汚職]「不正がまだ横行する『塀の中』」
拘置所や刑務所の看守が、収容されている暴力団関係者らの要求に応じて、便宜を図る不正をどう防ぐのか。
大阪拘置所の主任看守が収賄容疑で逮捕された事件で、法務省が内部調査を始めた。「塀の中」の不正を早く断ち切らねばならない。
主任看守は、拘置中の暴力団組長の求めで、独居房を監視カメラのない部屋に変更した。その見返りに、東京ディズニーリゾート、熱海への家族旅行や現金と車の供与を受けていた。
ほかにも、山口組トップの6代目組長ら数人に、自分から処遇の便宜を図るなどと持ちかけ、計数百万円を受け取ったという。拘置所の治安と秩序を守る職責を忘れてしまった行為だ。
看守と収容者との癒着が発覚したのは過去4年間で6件目になる。
2002年、千葉刑務所の看守が組員に携帯電話や食料を与えた謝礼に15万円などを受け取り、逮捕された。その後も東京・府中、徳島、宮城の刑務所などで看守が携帯電話を貸したり、親族への伝言を取り次いだりして、処分された。
便宜の相手は暴力団関係者が大半だ。処遇での軽微な規則違反を黙認したことなどにつけこまれた。
4年前の名古屋刑務所での受刑者への虐待事件のように、弱い立場の収容者に暴行を働く一方で、暴力団関係者の要求に耳を貸すのは看過できない。
看守は収容者との私語も原則、禁じられている。ことに、拘置所では、接見禁止になっている収容者が多い。共犯者の逮捕状況や証人の供述などが伝わったら捜査と裁判に響く。外部との接触を厳正に遮断しなければならない。
大阪拘置所の主任看守は「勤続十数年を過ぎ、気が緩んだ」と供述した。その転落の過程を調べるだけでなく、管理体制の問題点を解明する必要がある。
主任看守は、暴力団関係者が入所すると、上司に自ら申し出て担当に就いた。収容者の間では、組員らの処遇に融通を利かすことで知られていたという。
上司らは、余程の事情がないと認められない房の変更も許可していた。指揮・監督も甘かった。
施設は密室的環境にあるだけに、看守間の相互監視が重要だが、主任看守は1人で40人を担当していた。これでは同僚もチェックしきれない。大規模刑務所の一部では、組員など対応の難しい収容者は看守2人1組で担当させている。収容者に応じた処遇をするべきだ。
事件は氷山の一角にすぎない、との指摘もある。すべての刑務所と拘置所で、職務体制の見直しが必要だ。