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2006年09月06日(水) 00時00分

大阪に市場の目厳しく 地方債の発行条件に埼玉県と格差 朝日新聞

 大阪府と埼玉県の9月の公募地方債(10年物)の発行条件が6日、決まった。これまで地方債の発行条件は、東京都など一部の自治体を除き、横並びで決めてきた。しかし、両府県とも今月から独自に条件を決める「個別条件方式」に移行。その結果、大阪府債と埼玉県債の表面利率はそれぞれ2.0%、1.8%と格差が生じ、横並びの発行体制が崩れた。市場関係者からは「自治体も市場の目にさらされる厳しい時代が来た」との声が出ている。

 発行額は大阪、埼玉ともに200億円。発行条件が悪ければ、自治体の調達コストが増すことになる。埼玉県は「初めての独自発行にしては、まずまずの条件で発行できた」(財政課)と手応えを感じているが、大阪府は「利率に差がついたのは投資家の判断で、素直に受け止めたい」(同)としており、「明暗」が分かれた。

 これまで、公募地方債を発行する38自治体のうち、東京都、神奈川県、横浜市、名古屋市以外の34自治体は、発行条件をそろえてきた。しかし、公正取引委員会が「統一条件交渉方式の廃止が競争政策上望ましい」とする見解を示し、総務省は8月中旬、34自治体に対し、9月以降は独自で条件を決めるよう求めていた。

 また、北海道夕張市が財政再建団体に移行した今年6月の「夕張ショック」後、債券市場には地方債への警戒感が広がっている。自治体間の流通利回りに格差が生じ、「同じ条件で発行するのは実態とずれがある」(証券会社大手)との批判も出ていたことも背景にある。

 例えば、東京都債や埼玉県債は、夕張ショック後も国債との流通利回りの格差がおおむね0.15%内で推移してきたのに対し、財政面がより厳しいとされる大阪府債は、0.3%程度まで広がっている。こうした状況が発行条件の違いにつながったと見る向きも多い。

 大和証券SMBCの大橋俊安クレジットアナリストは「独自発行が浸透すれば、財政状況などから、発行条件に差がでるのは当然の流れだ。各自治体は今まで以上に、積極的に投資家向け広報などに力を入れていく必要がある」と話している。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200609060044.html