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年間出産数が国内有数の約3千人に上る堀病院の事件では、医療法に基づいて年1回の立ち入り調査をしていた横浜市が違法状態を把握していなかったとして批判を浴びた。このため、市は8月28日から、市内で分娩(ぶんべん)を扱う27の病院と21の診療所に対し、緊急調査を始めた。
院長への聞き取りに加え、カルテを10件程度抽出。記載されている内診者の名前と勤務表をつき合わせ、看護師が内診をしていないかを、各区の福祉保健センターの所長らが2時間ほどかけて点検している。
しかし、看護師が内診をしていることが新たに判明した医療機関はいまのところゼロだ。
夜間に急なお産が重なった場合には、いまも看護師が内診をしているという診療所の院長は朝日新聞の取材に、こう明かす。「市からの『看護師に内診はさせていないか』との質問には『改善されているので大丈夫』と返答した」
カルテに内診者名は書いていなかったため、きちんと書くように指導を受けたが、「それ以上の追及はなかった」という。「助産師はどうしても給料のいい大病院に集まってしまう。助産師しか内診できない、ということであれば多くの診療所は閉めるよりほかない」
市内の別の診療所は堀病院の事件発覚後、内診をしている看護師や准看護師に「内診をしてもカルテにサインはするな」と指示したという。
調査を担当している市医療安全課の担当者は、頭を抱えたままだ。「捜査機関のような権限はないので、グレーの医療機関はそのままにならざるを得ない。法順守を徹底すれば産科医療が立ちゆかなくなるという主張もあり、行政としては悩ましい」