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別の団体の関係者も「聴覚障害者にとって手話を使える健常者は意思疎通のための単純な通訳ではなく、自然と信用し頼ってしまう存在。外国で日本語ができる外国人と出会うと安心するのと同じ」。
被害弁護団によると、福祉機器販売会社の女性社長(55)は、耳が不自由な1歳上の兄のために習得した手話を悪用していた。「社長の手話はあいさつ程度のものではなく、相手の気持ちもくみ取って会話できるレベルの高さ」(被害者の家族)という。
東京都東村山市の60代の聴覚障害者の夫婦は女性社長から利息表を示され、「安心して私に預けてください。必要ならすぐに返すこともできます」と手話や筆談で誘われ、800万円を預けた。その後、「200万円上乗せしたら、高い利息がもらえます」と言われ、計1000万円を出資した。「老後のためにとコツコツためていたお金だったのに…。手話ができることで信用してしまった」と悔やむ。
弁護団のメンバーは「聴覚障害者の信用を逆手に取った犯罪」と悪質性を指摘する。東京、千葉、埼玉、山梨など9都県で50人以上が被害に遭い、総額6億4000万円以上が女性社長らの手に渡ったとみられる。越智事務局長は「聴覚障害者の気持ちを考えた上での犯行であれば絶対に許せない」と憤る。
厚生労働省によると、身体障害者手帳を持っている聴覚言語障害者は全国で約35万7500人。捜査関係者は「全国の聴覚障害者の信頼を裏切った弱者を食い物にした犯罪といえ、詐欺の立件も視野に徹底捜査する」と話している。
【2006/09/02 東京朝刊から】
(09/02 12:39)