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2006年08月31日(木) 00時00分

成年後見制度…認知症170万人 利用まだ少数派読売新聞

 認知症や知的・精神障害などで判断能力が衰えた人は、財産管理や介護サービスなどの契約を自分で行うのが困難な場合があります。自分に不利益な契約でも、よく理解せずに結んでしまい、悪徳商法の被害に遭う恐れもあります。

 こうした人たちの保護・支援を目的に設けられたのが成年後見制度です。介護保険とともに高齢社会を支える両輪として、2000年度に導入されました。

 成年後見制度には、「法定後見制度」と「任意後見制度」とがあります。

 法定後見制度は、すでに判断能力が衰えている人が対象で、症状が重い順に「後見」「保佐」「補助」の3段階に分かれています。親族などから申し立てを受け、家庭裁判所が後見人を選任。後見人は契約などについて、同意、代理、取り消しなどを行う権限を持ち、本人の利益を考えて実行します。権限の内容や範囲は3段階で違います。

 任意後見制度は、判断能力が衰える前に、将来の衰えに備えて、財産管理や契約などを委ねる任意後見人を自分で選んでおく制度です。公正証書で契約を結びます。認知症が進むなどしたら、任意後見人らの申し立てを受けて家裁が監督人を選任。その監督のもと、任意後見人が契約などを代理で行います。

 成年後見制度の申立件数は年々増え、05年度は2万1114件(前年度比22%増)。しかし、認知症の高齢者は170万人と推計され、後見が必要なのに利用できずにいる高齢者が大勢いるのが現状です。

 厚生労働省は昨年7月、市町村長が法定後見を申し立てる際の要件を緩和しました。身寄りのない認知症の高齢者が悪徳商法の餌食になる事件が相次いだためです。市町村長による申し立ては3・3%(05年度)に過ぎず、より積極的な取り組みが望まれます。

 現状では後見人などの大半が親族ですが、少子化・核家族化で、第三者に対するニーズが高まっています。司法書士会などが供給の受け皿作りをしていますが、自治体、NPOも含め、第三者後見人の養成・確保を進める必要があります。(林真奈美)

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/jiten/20060831ik09.htm