2006年08月30日(水) 08時02分
ソニー製電池 アップルのパソコンでも出火 4月に大阪で(産経新聞)
ソニー製のノートパソコン用リチウムイオン電池の過熱、出火問題で、経済産業省は29日、日本国内でも米アップルコンピュータ製パソコンに搭載されたソニー製電池が発火する事故が発生していたことを明らかにした。アップルは全世界で電池190万個のリコール(回収・無償交換)を実施中で、経産省はアップル日本法人に対し、消費生活用製品安全法に基づいて9月5日までに詳しい報告書を提出するよう求めた。
経産省によると、今年4月に大阪府内でアップルのノートパソコンの電池が過熱し、煙と火が出る事故があり、このパソコンの使用者が指先に軽いやけどを負った。
アップル日本法人は事故発生後に経産省の外郭団体「製品評価技術基盤機構」へ報告していたが、今月24日に米国でリコールを発表したのを機に、25日に改めて経産省へ連絡。経産省は「大阪での発火事故もソニー製電池に起因したことは間違いない」とみて、さらに詳しく調べる方針だ。
ソニー製電池をめぐっては、今月14日に米パソコン大手デルが全世界でノートパソコン用電池410万個のリコールを発表。日本国内でも昨年10月に東京都内、今年6月には大阪市内で同社製パソコンの電池発火事故が起きていた。ソニーとデルは31日にも経産省に詳しい報告書を提出する。
ただ、デル、アップル両社とも重大な死傷事故には至っていないことから、経産省が回収などの緊急命令を出す可能性は今のところ小さい。
アップル日本法人は「経産省の調査や指示に全面的に協力し、これ以上被害が出ないよう、できるだけ早く回収・交換したい」と話している。
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≪「責任はソニー、取引は継続」デル副社長≫
米パソコン大手デルのジム・メリット副社長(日本法人社長)は29日、東京都内で記者会見し、発火の恐れがあるとしてリコール(回収・無償交換)に乗り出した同社製ノート型パソコン搭載のソニー製リチウムイオン電池について、不具合の原因は「デルのパソコンのシステム設計の問題でなく、電池の製造過程で起きたもの」との認識を示し、問題の責任はソニー側にあるとの考えを強調した。
不具合の原因についてソニーは「コンピューターのシステム構成の違いの影響を受ける」などと、デル側にも責任の一端があるとの見解を表明。両社の見解に食い違いが生じている。
ただ、メリット副社長は「他メーカーの電池に切り替えることはないと思う。今後もソニーは重要なパートナーであり続ける」などと述べて取引の見直し観測を否定。ソニーが200億〜300億と見積もるリコール費用の負担については、「合意内容は言えないが、私どもの財務は影響を受けない」と述べ、両社間の話し合いで解決を図ることを示唆した。
(産経新聞) - 8月30日8時2分更新
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