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救済対象者は石綿新法で決められており、石綿が原因の中皮腫(ちゅうひしゅ)や肺がんとなった患者や遺族のうち、労災保険が適用されない人で、石綿工場周辺の住民などが中心。弔慰金280万円、医療費などの救済総額を、10年度までに約760億円と試算した。うち、申請が集中した05年度末と06年度に約400億円、07年度以降は年間90.5億円程度が必要と見込み、企業側には07〜10年度に総額300億円程度を求めることにしていた。
来年度以降の年間救済額のうち、73.8億円が企業側負担。うち(1)所在する(していた)市区町村の中皮腫の死亡者数が全国平均以上(2)石綿の累計使用量が1万トン以上(3)石綿による中皮腫・肺がんの労災認定が10件以上——という3要件すべてにあてはまる責任企業を「特別事業主」とし、石綿の輸入量全体に占める使用量の割合などから算定した3億3800万円の負担を求める。対象となるのはクボタ(本社・大阪市)やニチアス(本社・東京都港区)など4社とみられるが、企業名は公表しない。
残り70.4億円は全企業で負担することとし、労災の保険料率を千分の0.05引き上げる。企業の負担増は、従業員6万人の大企業で年3000万円、従業員10人程度の企業なら3000円程度になるという。
企業負担については、「石綿は高度成長を支えた面もあり、幅広い企業が恩恵を受けた」として、社会全体で責任を負う意味で労災保険のシステムを使い、全企業から徴収する。その上で責任企業には追加を求める2段階方式としたが、産業界から「納得のいく根拠を」と求められていた。
環境省は7月に日本経団連常務理事や研究者らでつくる有識者会議で検討。ほぼ合意が得られたため、8月30日の同会議で、この枠組みでとりまとめる見通しだ。
政府は11年度以降については、救済対象者が減少するとみており、この時点で負担割合も見直す考えだ。
この枠組みについてクボタ広報室は「コメントできない」、ニチアス広報では「根拠に基づいた公平な決定なら尊重したい」としている。