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「○○観測所の水位は8メートル83センチで、警戒水位を超えました」
全国的に被害が出た7月の豪雨災害のさなか。岐阜県の県域放送局「岐阜テレビ」の地上デジタル放送画面には、こんな情報が表示された。リモコンの矢印キーで進むと、橋げたに迫る濁流を映した画像が表れる。
岐阜県は4月から、地上デジタルのデータ放送用に災害情報の配信サービスを始めた。もう一つの提供先、NHK岐阜放送局も放送を検討中だ。
共通の仕様で市町村や県事務所の職員が打ち込んだ避難勧告や土砂災害の情報などを県のサーバーに自動集約。そのまま放送できるデータ形式で放送局に送る。家庭では「災害対策本部設置状況」「避難勧告・指示」「雨量」などの項目が表示される。
同様のシステムの試験的取り組みは、総務省と自治体が連携し各地で始めているが、本格運用は全国で初めてだ。
電話回線だと大災害時には利用者が急増し、つながりにくくなるが、放送なのでその心配はない。テレビのリモコン操作も簡単。ニュースと違って見たいときにいつでも見ることが出来る。
ただ、認知度はまだまだ。11世帯の避難者が出た中津川市の防災対策課も「こんな放送があったなんて知らなかった」。
データの表示法にも課題が残った。岐阜テレビでは今回、警報などの発令や解除の度にその情報を追加して縦に並べたが、「見づらいという意見が多かった。時間軸で流れを考えるテレビ的な発想が抜けていなかった」(デジタル企画開発室)と反省する。停電や断水などライフラインの情報もこれからだ。
より広域で多くの情報を集約させるシステム作りに、近畿の2府7県4政令指定都市と経済団体でつくる関西広域連携協議会が乗り出している。
きっかけは一昨年の台風23号。防災行政無線が聞こえず避難勧告が伝わらない地域があり、被害が拡大した。郵便番号で地域を振り分けるデータ放送の機能を活用し、対象情報を優先表示するシステムを構想する。08年度中の開始を目指すが、課題も多い。
府県をまたぐ広域放送局と県域放送局とが役割分担する必要があるが、データ形式や提供仕様の調整はこれからだ。費用をだれが負担するかもまとまっていない。協議会は放送局の負担も求めているが、災害情報を流すかどうかは放送局側の判断で、参加義務はない。ワーキンググループ座長の芝勝徳・神戸市外大助教授(情報学)は「災害時の一時情報源として、報道側にもメリットはあるはず」と話す。
http://www.asahi.com/national/update/0829/TKY200608280352.html