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2006年08月29日(火) 00時00分

同和行政不正 市の体質、根深く読売新聞

処分で幕引き図る? 関市長「再出発の節目に」

 同和行政を巡る不正が相次いで発覚した大阪市で29日発表された大量処分。関淳一市長は記者会見で「市民の皆様に心からおわび申し上げる」と沈痛な表情で言葉を絞り出した。「看過した責任を感じる」「もっと慎重に判断すべきだった」。旧芦原病院問題や財団法人「飛鳥会」を巡る事件で、処分を受けた幹部からも反省の弁が漏れた。カラ残業、ヤミ専従——新たな不祥事が表面化するたびに繰り返される処分。だが、この日も職員からは悲痛な声が聞こえた。「組織の体質が変わらない限り、再発を防げない」

謝罪

職員の大量処分発表の会見で頭を下げる関淳一・大阪市長(中央)ら(午前9時52分、大阪市役所で)

 市役所で会見した関市長は、冒頭、深々と頭を下げて謝罪。「職員一人ひとりの意識改革を図り、公正で公平な組織体質をつくりあげていく」と改革への決意をにじませた。

 諭旨免職を含む処分には「(局長級の免職は)前例がなく、つらい」としながらも、「ひとつのけじめをつけることがこれからの市政を進める上で必要だと判断した」と説明。「市民の信頼回復に向けた再出発の節目にしたい」と、処分を一連の問題の“幕引き”にしたい意向をのぞかせた。

後悔

 今回、最も重い諭旨免職処分を受けた中山芳樹・市スポーツ・みどり振興協会審議役は、この日午前8時半、都島区の市長公館で関市長から処分の説明を受け、「市民の信頼を大きく損ない、申し訳ない」と話したという。

 22日に退職願を提出したといい、読売新聞の取材に「当時の健康福祉局のトップとして責任がある。処分に納得している」としながらも、「しばらくゆっくりしたい」と疲れた表情をみせた。

 停職1か月となった岸広成・医務保健総長は、旧芦原病院への迂回(うかい)融資や債務保証の舞台となった市出資の財団法人「市医療事業振興協会」理事長を兼務していた。今回の処分で二つの職を失い、「厳粛に受け止める。ほかに方法がなかったか、もっと慎重に判断すべきだった」と悔やんだ。

同情

 処分対象者の中には、同和関連団体「飛鳥人権協会」に対し、ヤミ補助金計1370万円を私費で負担した課長級職員(当時)2人も含まれている。

 協会の相談役だった飛鳥会理事長の小西邦彦被告(72)(詐欺罪などで起訴)の反発を恐れ、「自分で払えば楽になる」と市が打ち切った補助金相当額を払い続けていた。戒告処分を受けた1人は「適切なやり方ではないとの認識はあったが、上司にも部下にも迷惑をかけられなかった」と振り返る。

 この処分を巡り、職員の間には「長年続いていたものを、やめるのは難しかったのではないか」との同情論もある。同和行政をよく知る職員の1人は「責任を現場に押しつける土壌があった。正すべきは組織の風土」と指摘した。

解職の前市長室長 中央卸売市場長に

 大阪市は、職員の処分に伴う29日付の人事異動を発表した。元健康福祉局理事の寺本良平・中央卸売市場長(停職1か月)を更迭、総務局理事としたほか、岸広成・市立総合医療センター総長(同)についても医務保健総長の兼職を解いた。寺本氏の後任は森下暁・大阪港埠頭公社副理事長(52)、岸氏の後任は巽陽一・市立北市民病院長(55)。

 森下氏は昨年9月、ヤミ年金・退職金問題に関する市議会での説明が「市長見解と異なる」などとして、市長室長兼経営企画監を解職された経緯がある。関淳一市長は会見で「非常に能力のある人なので、当初から秋の人事で適所で仕事をしてもらいたいと考えていた」と説明した。

http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/kaikaku/oc60829a.htm