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タクシーに取り付けられたドライブレコーダー=大阪市住之江区の駒姫タクシーで |
フロントガラスに付けた「小さな目」で事故が減る——。事故前後の映像や速度を記録するドライブレコーダー(DR)が、タクシー業界の注目を集めている。特に大阪では業界団体が率先して導入を進め、法人タクシーの普及率は4割超と全国一だ。事故抑止効果は国土交通省の折り紙付き。急ブレーキや急ハンドルにも反応するため、運転が優しくなる効果もあるが、1台数万円の経費がネックとなり、業界全体の普及率は2割程度にとどまっている。
駒姫タクシー(大阪市住之江区)は04年8月、大阪府内のタクシー会社で初めてDRを導入し、196台全車に搭載した。
同社によると、DRに内蔵されたデジタルカメラが事故前後の車の走行状況や相手側と接触する様子を撮影し、パソコンでリアルに再現できるため、過失の度合いで相手側ともめることがなくなり、事故の処理時間も短縮できた。運転手も安全運転を心がけるようになり、事故の発生が導入前より約4割も減った。
藤原大・営業部課長は「最初の設置費は約1500万円かかったが、事故を減らす効果が大きいため、ほぼ数年で投資は回収できそう」と話す。
同社の効果に促されて、会員の法人タクシーが事故を起こした際の補償を担当する「大阪タクシー交通共済協同組合」(同市中央区)は04年12月〜昨年3月、会員の100社に対し、計7656台分のDR(1台約7万円)を無償で配った。
昨年4月から1年間の事故発生率は月平均で1千台当たり10件。前年同期より1割減り、特に死亡などの重大事故は25%も減った。永井浩・統括部長は「大阪のタクシー台数は規制緩和で毎年増えているにもかかわらず、事故が減少した。効果は画期的だ」と評価する。
組合が加盟会社に貸与した結果、大阪府の法人タクシーのDR導入率は41%までアップし、39%の東京都を抜いて全国一になった。
こうした効果は、国土交通省の05年度の全国調査でも明らかだ。搭載から半年以上たつ24社を対象に、搭載前後の事故率の変化を調べたところ、過失がより重い第1当事者になる人身事故を1日に起こす確率が半分以下になったのが8社▽2〜3割減が5社▽1〜2割減が4社と続き、平均で22.7%下がった。
ただ、導入を足踏みさせているのが価格。同省によると、簡易型で3万〜7万円、全地球測位システム(GPS)と連動して精密な位置も記録できる商品は6万〜8万円もする。さらに、同省の調査で、最近普及しつつあるLED(発光ダイオード)式信号機を撮影した場合、DRの撮影コマ数とLEDの点滅間隔が一致するために信号の光が映らなくなるケースがあることもわかった。
全国の法人タクシーでつくる全国乗用自動車連合会(東京都)が約21万台を対象にした調査(3月現在)で、搭載済みは約3万3900台(約16%)と、前年から2倍近く増えたが、普及率はまだ低い。関西でも京都府が約11%、兵庫県が約5%。
普及を進めようと、業界団体が補助制度を設ける動きも広がっている。同省によると、名古屋や北海道でも共済組合がDRを一括購入して無償貸与しているほか、東京や神奈川、山形の共済組合は1台8千〜1万円の購入費補助を出している。