2006年08月26日(土) 08時32分
リチウム電池が大量リコール ソニー負担300億円規模(フジサンケイ ビジネスアイ)
■米アップル180万台
米アップルコンピュータは24日(米国時間)、同社製ノートパソコンに搭載したソニー製リチウムイオン電池に過熱の恐れがあるとして、約180万台をリコールすると発表した。パソコン最大手デルに続き、アップルもソニー製電池回収に乗り出したことで、問題が拡大する様相を呈してきた。
アップルが回収するのは「iBook(アイブック)G4」と「PowerBook(パワーブック)G4」で、2003年10月から06年8月まで販売された180万台(米国外で70万台)。米消費者製品安全委員会(CPSC)によると、9件の過熱事故が報告されたという。
これを受けソニーは25日、デルのリコール分と合わせ、交換用の電池と関連費用でソニー側の負担が200億〜300億円になるとの見通しを発表した。
ソニーによると、今回のリコールは、製造過程で微細な金属粒子が電池に混入し、ショート(短絡)することがあるため。その場合、通常は電源が切れるだけだが、パソコンのシステム構成との兼ね合いなど「まれなケース」で、電池が過熱、発火する恐れがあるという。
ソニーは、「現時点では、電池に絡むリコールをこれ以上予想していない」と指摘。「問題を受け、いくつもの対策をすでに講じ、安全対策の水準を引き上げた」と強調した。
リチウムイオン電池は、「パワーが大きい分、危険性のある商品」(業界関係者)としても知られ、国内各社は過電流を防ぐ「安全弁」をつけるなど安全性の確保に取り組んできた。
販売個数で世界シェアトップの三洋電機は、同電池の生産を徳島県と京都市の国内2拠点に絞っている。「最先端技術の海外流出を防ぐという意図はもちろんだが、安全配慮のない模倣品が作られると予想外の事故を招いてしまう」からだ。
それでも、海外メーカーの模倣品は後を絶たず、中国では安全弁を取り付けていない携帯電話用のリチウムイオン電池が発火する事故が起きた。
「信頼性は抜群」とされてきた日本製でもトラブルが発生したため、リチウムイオン電池の二重、三重の安全措置が求められる可能性もある。そうなれば製造コストは必然的に高くなってしまう。今回の問題は、業績回復を急ぐソニーにとって大きな痛手となるだけでなく、信頼性をどう取り戻すのか業界をあげて問われることになる。
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 8月26日8時32分更新
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