2006年08月25日(金) 08時33分
東京スター銀「無料ATM」 三菱東京UFJ銀が契約見直しで波紋(フジサンケイ ビジネスアイ)
ATM(現金自動預払機)の無料化を進める東京スター銀行に対して、三菱東京UFJ銀行がATMの相互利用の契約見直しを申し入れていることが分かり、金融界に波紋が広がっている。東京スター銀は約1600の金融機関と無料ATMで提携しているが、他の金融機関も東京スター銀との契約見直しを検討するとみられ、無料ATMの普及に急ブレーキがかかる可能性が出てきた。
他行のキャッシュカードでATMから預金を引き出す場合、ATMを保持・運営している銀行は通常、利用者とカードを発行している銀行の双方から一定の手数料(105円)を受け取り、ATMの管理・維持費用などに充てる仕組みになっている。これに対して、東京スター銀の無料ATMは、カード発行銀行からのみ手数料を受け取る。利用者は、平日の日中なら現金の引き出しや残高照会などの手数料が無料になる。
無料ATMは東京スター銀が7月末で約950台を設置。同行と提携したコンビニエンスストアのサークルKサンクスも、2007年2月までに約1400台を設置する予定で、無料ATMの普及が加速している。
一方、カードを発行している三菱東京UFJ銀からみれば、顧客が自前のATMから流れて採算が悪化するのに加え、東京スター銀の維持費を負担する格好になっている。金融界では「無料ATMはいいとこ取り」との批判もあるこの関係を見直すため、解除も含めた契約見直しを東京スター銀に申し入れたようだ。
この構図は、東京スター銀と契約する他の金融機関にも当てはまる。一部の銀行がATM手数料の無料を強調して顧客を集めれば、銀行手数料に偏りが生じることになる。このため、三菱東京UFJ銀に続いて、東京スター銀に契約見直しを申し入れる金融機関が出てくる可能性もある。
ただ、東京スター銀と契約する金融機関にとって負担が増えるとはいえ、無料ATMは顧客にとってプラスの面が大きい。
特に、ゼロ金利解除に伴って預金金利が引き上げられたといえ、その水準は低く抑えられたまま。手数料負担を顧客に求めることに対する批判があるのも事実だ。大手行の収益が拡大する中で、利益を顧客に還元すべきとの議論も一部にはある。
三菱東京UFJ銀と東京スター銀の交渉の行方が注目されるが、「東京スター銀への支払い手数料引き下げが落としどころになる」との見方も出ている。
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 8月25日8時33分更新
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