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[シュレッダー]「家庭への普及念頭に安全対策を」
子どもがシュレッダーに指を挟まれ、切断するという痛ましい事故が起きた。
静岡市では今年3月、2歳女児が自宅兼事務所にあったシュレッダーに両手を巻き込まれ、指9本が切断された。
7月には、東京都板橋区の自宅で、2歳男児が別のメーカーの機器に左手を挟まれ、2本の指を切断した。
幼児が被害者となる類似の事故が続いた背景には、シュレッダーの一般家庭への急速な普及がある。
個人情報保護法が昨年4月に施行された一方で、個人情報を悪用した詐欺などの犯罪も続発している。郵便物や公共料金の領収書などを細かく裁断して捨てる家庭が増えてきた。
業界団体の調査では、昨年のシュレッダーの国内出荷台数は約7万7000台で、前年の約3万6000台の2倍以上になった。比較的小型の家庭用シュレッダーの需要も多いという。
そうした市場の変化に、安全対策が追い付けないのではないか。
大人が指やネクタイを業務用シュレッダーに巻き込まれる事故は以前からあった。経済産業省は、電気用品安全法に基づき、紙投入口に保護枠などを設置するよう省令で定めている。だが、これは大人の指の太さを想定してのものだ。
一般家庭でも使用される機種には、子どもが触ることを前提とした安全対策が必要だろう。
メーカーの中には、すでに「子どもの指」を念頭に機種改良を施しているところもある。速やかに業界全体で取り組んでもらいたい。
事故の報告制度の“機能不全”も露呈した。経産省は、電気製品に事故があった場合、1週間以内に報告するよう通達でメーカーに求めている。ただし法的な義務ではない。
電気製品の関連団体には、この通達が届いていたが、事故機器の2社は加盟しておらず、「報告が必要とは知らなかった」という。
さらに、国民生活センターなどの公的機関には、別のシュレッダー事故の情報が相当数寄せられていた。これらも、ほとんど経産省には届いていなかった。
パロマの湯沸かし器事故では、顧客に事故情報が隠され、経産省もパロマから報告を受けながら公表していなかった。事情は異なるが、情報開示の遅れが新たな被害を生んだ点は共通している。
日常生活の安全に関する情報は、ユーザー、国民にいち早く提供してもらいたい。そのためにも、まず経産省への事故報告の義務化を急ぐべきだ。