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県が県内の産科、産婦人科医療機関と助産所の計五百五十六施設を対象にした実態調査(回収率76・3%)では、出産取扱施設数は二〇〇三年度の百八十一施設から、〇六年度見込みでは百六十五施設に減少。常勤医師も〇三年度の四百三十四人が三百九十九人に減るという結果だ。
また横浜市では、出産を取り扱う施設は〇三年度に六十五施設あったが、〇六年度は五十六施設に。常勤医師は〇三年度の百八十一人から百六十七人に減る見込みだ。
産婦人科医の減少傾向について、県産科婦人科医会の八十島唯一会長(八十島クリニック院長)は「産科医は三日も四日も帰宅できないのは珍しくない」と過酷な労働実態を指摘する。また「当直勤務のない他の診療科と収入に大差もなく、なり手は少ない」という。
また助産師について、横浜市内で開業する産科医は「市全体として数は増えていても、個人で開業する病院には人が集まらないのが実態。大規模な大学病院などと違って、勤務時間や給与面で引きつけることができない。今回の問題は産科医が共通に抱える問題だ」と話した。
■チェック上は問題なし 横浜市、昨年立ち入り検査
家宅捜索を受けた堀病院は、横浜市が毎年一回実施する立ち入り検査では「問題なし」となっていた。
立ち入り検査は「医療監視」と呼ばれ、厚生労働省の要綱に沿って、医師の資格を持つ福祉保健センター長らが行う。すべての病院を対象に年一回実施され、同病院には昨年十月十四日に検査が入っていた。
検査ではカルテなど書類の提出や、病棟の視察に加え、医師や看護師の数を確認する項目もあったが、問題の発見には至らなかった。市健康福祉局では「だれが何をやっているかまで分からず、チェック上は問題がなかった」としている。 (木村留美)
■横浜市が不安解消へ電話相談始める
今回の事件を受け、横浜市では堀病院の通院患者らの不安を解消するため、電話での相談受け付けを始めた。
相談は常設の市医療安全相談窓口で受け付ける。通常は平日午前八時四十五分から午後五時十五分の対応だが、土日の二十六、二十七の両日も受け付ける。窓口では転院希望者への病院の情報提供や、今後の不安解消のための相談を受け付けるという。相談窓口の電話番号は、045(671)3500。
■横浜市内の産婦人科医 『産科不足に拍車、懸念』
横浜市内の産婦人科医師は、事件について、「業界は慢性的な人不足。開業医の場合、助産師だけでこなせるほど数はいないはずで、そうせざるを得ない部分があったのではないか」と話す。さらに「詳細な経過が分からないので何とも言えないが、助産師ではない人が出産に介入したために、最悪の結果になったとは言い切れない。出産には常にリスクがある」と指摘した。
また、医師不足などで産科医療が危機的な状態にあるだけに「今回の事件で、少しでも助産師以外の看護師らに介入させている開業医が病院をやめてしまう可能性もあり、そうなれば産科不足にますます拍車がかかる。産科医療へのダメージは大きい」と懸念。「法律自体が現実に即したものになっていないのではないか」と疑問を呈した。
(木村留美)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20060825/lcl_____kgw_____000.shtml