2006年08月25日(金) 21時10分
「バッテリのリコールはアップルが最後」--ソニーや各PCメーカーが強調(CNET Japan)
Apple Computerが行ったリコールについて、バッテリの製造メーカーであるソニー、および他のPCメーカーは米国時間8月24日、これ以上のリコールはないとの見込みを相次いで発表し、ユーザーを安心させようと躍起になっている。
しかし、ショートによる発火の危険性があるとして410万個のバッテリのリコールをDellが14日に発表した際も、各社はもちろん、これと全く同じ内容の発表を行っていた。主要なPCメーカーのほとんどは、ノートPC用バッテリの一部にソニー製の電池セルを使用している。Dellに続いて、Appleが180万個のバッテリのリコールを
31日に発表 して以降、これらのバッテリにも厳しい目が向けられている。
ソニーでは、このセルの問題はDellとApple Computerに限定されたものだと考えていると、ソニーの広報担当者Rick Clancy氏は24日に述べている。ただし、同氏はDellのリコール問題が明るみに出た
14日の時点 では、他のPCメーカーからはDellのようなレベルの問題事例は報告されていないと強調していた。
Dellはバッテリに関わる問題の報告を6件受けたと述べていたことが、15日に発表された米消費者製品安全委員会(CPSC)のプレスリリースで明らかになっている。一方、Apple Computerは24日、問題の報告を9件受けており、そのうち2件ではユーザーが軽傷を負ったことを明らかにした。なお、Dellは世界最大のPCメーカーで、同社の出荷数はApple Computerをはるかに上回っている。
Clancy氏が24日に語ったところでは、ソニーでは、問題のセルと、各種ノ—トPCへの当該セルの実装の実態について、さまざまなPCメーカーと情報交換を続け、その結果、バッテリのリコールが必要な企業はDellとApple Computerの2社のみとの結論に達したという。
当然のことだが、他のPCメーカーの見解もソニーと一致している。
Hewlett-Packard(HP)は声明の中で、「2006年8月24日のApple Computer製ノートPC用バッテリのリコールおよび2006年8月14日のDell製ノートPC用バッテリのリコールに関連して、HPがノートPC用バッテリパックのリコールを行う予定はない。HPは問題のセルのメーカーであるソニーと連絡を取り合っており、これらのリコールがHPに影響を及ぼすことはないはずだとの連絡をソニーから受けている」と述べている。
Gatewayは、「入手している情報とサプライヤーからの情報から判断して、競合他社でバッテリのリコールに至った不具合と同じ問題にGatewayの製品が見舞われる危険性はないと考えている。リコールが必要なほどの不具合が起きたケースではさまざまな要素が組み合わさっていたようで、われわれの製品ではそのような組み合わせは存在しない。GatewayのノートPCでは、競合他社のリコールに関係したセルとは異なるセルを使用している」と述べている。
Acerは、問題のセルにより「影響を受けるバッテリは、われわれが使用しているバッテリには含まれていないとの報告をソニーから受けた」としている。
Lenovoは、もう少し詳しい情報を提供している。それによると、同社はリコールの対象となったものと同じソニー製バッテリを使用しているが、セルのパッケージ化および充電の方法が異なっているという。技術の実装に際してはApple ComputerやDellの場合は異なる方法を採用しているとの確証をソニーから得ていると、Lenovoでは述べている。
ソニーが自社のセルの問題をいつごろから把握していたかは、定かではない。ソニーが18日に
Infoworld の取材に対して語ったところでは、ソニーが初めてDellとこの問題について話し合ったのは2005年10月のことで、その後2006年2月に再度話し合いを持ったという。その後、ソニーはバッテリの製造工程を変更したが、Clancy氏は24日のCNET News.comの取材に対し、変更された時期の詳細を明かすことを拒んだ。
また、ソニーは、不具合のあるセルの影響がApple Computerに及ぶことを把握した時期についても、明らかにしていない。Apple Computerも、この問題についてソニーと話し合いを始めた時期についてはコメントを拒否している。
今回の一連のバッテリ騒動がAppleのリコールで終わりを迎えるかどうかは、予断を許さない。すでに、ソニーのノートPCでバッテリから煙や炎が上がったとの報告が、2件浮上している。1件はカンザスシティのテレビ局で報道され、もう1件はCNET News.comの読者から電子メールで寄せられたものだ。ソニーのClancy氏は、これまでの情報から判断する限り、カンザスシティの事例は偽造バッテリが原因と思われると語ったが、なぜ偽造だとわかったのか、その理由については詳しい言及を避けた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。
海外CNET Networksの記事へ
関連記事
フォトレポート:アップルがリコールしたPowerBookおよびiBook用バッテリ - 2006/08/25 14:26
アップル、バッテリ180万個をリコール--原因はソニー製セル - 2006/08/25 10:14
フォトレポート:デル、ノートPCのバッテリをリコール--爆発や発火の恐れ - 2006/08/16 09:26
デル、ノートPCのバッテリをリコールへ--対象は業界最大規模の410万個 - 2006/08/15 14:07
アップル、「MacBook Pro」のバッテリをリコール - 2006/08/01 10:09
加熱するバッテリー市場--爆発の危険性を抑えたバッテリーも - 2006/07/27 21:20
HP製デジタルカメラ「R707」、発火の可能性でリコール - 2006/06/07 17:02
HP、ノートPC用バッテリをリコール--過熱や発火に対処 - 2006/04/21 18:28
[CNET Japan]
http://japan.cnet.com/
(CNET Japan) - 8月25日21時10分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060825-00000013-cnet-sci