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新幹線車内のインターネット接続の仕組み
東海道・山陽新幹線に導入されるN700系(手前)
N700系の車内。車内無線LANでインターネットが利用できる
新幹線がトンネルに入ってもパソコンのインターネットはつながります——。ビジネス客にうれしいサービスが、3年後に実現しそうだ。JR東海と西日本が新たに導入する次世代新幹線「N700系」の車内で無線LANが使えるようになるためだが、実は提供されるのは東海道区間のみ。山陽区間では、「安全投資を優先する」(JR西日本)ため多額の費用がかかる地上設備の整備計画がないのだという。「電波は続くよどこまでも」とはいかないようだ。
新幹線の沿線には、線路そばを数メートル並行して「LCX」(漏洩(ろうえい)同軸ケーブル)と呼ばれる列車無線用ケーブルが走っている。このケーブルは一定間隔に開けられたすき間から電波が漏れ出す仕組みで、新幹線総合指令所(東京都)と運転士間の連絡や車内の公衆電話、電光掲示板のニュース速報、天気予報などの情報を列車との間で無線で送受信している。
JR東海は09年春までに約350億円かけてこのLCXの列車無線をアナログからデジタル方式に変更し、容量を3倍に増やす。この容量増を生かして新たにインターネット接続装置を整備し、無線LANのアクセスポイントを1両あたり2カ所に設置。インターネット接続業者(プロバイダー)と無線LANの契約を結んでいる乗客であれば、通信装置を備えたパソコンなどを使ってインターネットに無料で接続できるようにする。
現在は携帯電話でネットにつないでも山間部やトンネルなど電波状況の悪い区間で途切れることがあるが、線路そばを走るケーブルを仲介するために周辺の地形に左右されず、常時接続が可能になる。120〜130人が一斉にホームページの更新やメールの送受信をしても、安定した通信が可能だという。
一方、山陽新幹線もLCXを活用しているが、数百億円の投資が必要になるデジタル化の計画はない。山陽新幹線は全延長551キロの51%がトンネルのため携帯電話もつながりにくく、東海道区間との「情報格差」が進みそうだ。
JR西日本は「宝塚線(福知山線)脱線事故の再発防止策として、安全対策への投資を最優先しているため、当面、計画はありません。ご理解をお願いしたい」という。
「N700系」は来夏から、東海道・山陽を直通する「のぞみ」で運用が始まり、09年度にはすべての直通「のぞみ」が切り替わる予定。現在の主力車両「700系」は、車両の両端席にしか電源コンセントはないが、N700系は全座席の約6割にコンセントが設置され、座席のテーブルもA4判サイズに拡大されるなど、パソコンを使いやすい環境になる。
無線LANについてJR東海は「東海道はビジネスマンの利用が多いので、きっと喜ばれる。ライバルの航空機への戦略にも役立つ」と期待する。山陽区間が同調しないことについては、「西日本の事情がありますので」と話している。