悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年08月22日(火) 13時00分

AOL、プライバシー侵害問題でCTOが引責辞任--社員2名も解雇処分にCNET Japan

 65万人に上るユーザーのウェブ検索データを公開し、多方面からの批判にさらされたAOLは、同社の社員2名を解雇した。また、最高技術責任者(CTO)も辞職した。

 AOLの最高経営責任者(CEO)であるJon Miller氏は米国時間8月21日、社員に宛てた電子メールの中で、CTOのMaureen Govern氏が「即時に辞任する決意を固めた」と述べている。

 Govern氏のコメントは得られていない。

 今回の問題に詳しい匿名希望の関係者によると、 オンラインで公開されたデータを取り扱っていた研究者 と、その上司で、Govern氏にとっては部下に当たる人物が解雇されたという。

 正式な後任者が決定するまでは、AOLのDigital Services部門の現在のプレジデントであり、2003年から2005年にかけてCTOを務めていた John McKinley氏 が暫定CTOに就任すると、AOLは話している。

 Miller氏から社員に宛てた別の電子メールには、プライバシーにおけるベストプラクティスを築いていくためのタスクフォースを設立し、検索データをはじめとする各情報の保管期間について検討すると記されていた。

 また同社は、検索データや機密性の高い会員情報を含むデータベースへのアクセス権に厳しい制限を設けて、研究用データベースではそうした情報を扱わないようにし、機密情報の保護に関する社員教育プログラムを立ち上げることも、同じ電子メールの中で明らかにした。

 「AOLは、長きにわたってユーザーの信頼を獲得し、プライバシー保護における業界リーダーとしての立場を保持してきたが、たった一度の軽率な行為がこれを台無しにしてしまったことに対して、深い遺憾を覚えている。このたびの問題は、一部の社員が正しい判断をせず、当社のプライバシー部門の指針に従わずに作業を進めたことによって起こったものである。責任を負うべき社員には、適切な処分を下した」(Miller氏)

 AOLの研究者は8月、同社の新たな研究用ウェブサイトに、ユーザーのウェブ検索データを掲載した。同社はその後すぐに、セキュリティ上問題があったことを謝罪し、データを削除したが、データは他サイトによってすでに保存され、検索可能な状態に置かれてしまった。こうしたデータを公開したAOLに対しては、大きな批判が集中した。

 先週には、サンフランシスコに拠点を置くデジタル権利団体Electronic Frontier Foundation(EFF)が、AOLに対する苦情を連邦取引委員会(FTC)に申し立てている。同団体は FTCに提出した苦情 の中で、AOLが同社のプライバシーポリシーおよび連邦法に違反した可能性を指摘し、調査を要請した。さらにEFFは、今回の情報漏洩によって影響を受けたユーザーにその旨を報告させること、ならびに特別な場合をのぞいて検索データのログ取得を中止させることをAOLに課す規制の制定を、立法機関に提案した。

 公開されたデータにはユーザーの氏名こそ含まれていなかったものの、非常に詳細かつ広範な情報だったため、検索データをたどっていって特定の検索利用者を割り出すことも不可能ではないと、プライバシー擁護団体は警鐘を鳴らしている。実際に複数の新聞社や組織がこれが可能であることを立証している。

 EFFの専任弁護士であるKevin Bankston氏は、電話によるインタビューの中で、「AOLが責任者をかえたからといって、議会およびFTCの介入の必要性がなくなったわけではない」と述べている。

 「今回の問題に関連してCTOが辞書校したことで、AOLは単発的な事故を収集するためではなく、検索ログを扱う方法自体を見直す意志を示したのだと解釈したい」(Bankston氏)

 ワシントンD.C.に本拠を置くCenter for Democracy and Technologyの副所長Ari Schwartz氏は、AOLによるユーザー検索データの公開に違法性があったかどうかはまだはっきりしないが、同社が法律に違反していた場合は、FTCが何らかの処罰を与える可能性があると指摘している。同センターは、AOLから少額の投資を受けているという。

 もっともSchwartz氏は、議会が新たな立法に動く必要はないと考えている。特に、マサチューセッツ州選出の民主党議員Edward Markey氏が提案しているような、ウェブサイト運営者による消費者データの「ウェアハウス」期間を定める法律は、制定すべきではないという。それよりも、業界が自発的に一貫性のある基準を取り決めていくことが好ましいと、同氏は主張した。

 また、Electronic Privacy Information Centerのエグゼクティブディレクターを務めるMarc Rotenberg氏は、「定期的に削除されていてしかるべき」ユーザーの個人的な検索データ情報を、検索企業が保有している現状自体に問題があると指摘している。

 電子メールによるインタビューに応じたRotenberg氏は、「個人のあらゆる検索情報を完全に放棄し、他の検索企業とは異なる方針を打ち出せば、AOLはオンラインコミュニティにほんとうに意味で奉仕することになる」と述べた。


この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

関連記事
「AOLの二の舞にはならない」:グーグルCEO、検索情報の漏えい問題で - 2006/08/10 17:44
AOL、65万人分の検索データをウェブサイトに掲載--削除後に謝罪 - 2006/08/08 18:56

[CNET Japan]
http://japan.cnet.com/
(CNET Japan) - 8月22日13時0分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060822-00000003-cnet-sci