2006年08月20日(日) 13時03分
振り込め詐欺:「おれおれ詐欺」354件 被害8割増、6億4000万円 /埼玉(毎日新聞)
◇今年上半期・県警まとめ
県警は今年上半期(1〜6月)の県内の犯罪情勢をまとめた。振り込め詐欺では、電話で息子や親族を装って現金をだまし取る「おれおれ詐欺」が354件・被害総額約6億4000万円と昨年同期(283件・同約3億6000万円)より件数、被害額とも増加し、特に被害額は8割も増えた。被害額の増加は実際に現金をだまし取られた既遂事件の比率が98%と昨年同期(63%)の1・6倍になっていることが影響しており、県警は注意を呼びかけている。
おれおれ詐欺では、5月に東松山市のパートの女性(当時57歳)が計約1100万円の被害にあった。女性は男から携帯電話に「会社の金を使い込んだ。お金を振り込んで」と電話があり、別居の長男と思い込み97万円振り込んだ。その後も男から「株で失敗した」などと数回電話があり、結局計約1100万円を振り込んでいた。
主なだましの言葉は「会社の金を使い込んだ」「会社の金を横領したのがばれた」などの会社のトラブルが約150件、次いで「友人の借金の保証人になった」などの借金の申し込みや取り立てが約110件、警察官や弁護士を名乗る男から「だんなさんが痴漢をしたので示談に現金が必要」と電話がある痴漢が約50件を占めている。
このほか、税務署員を装って税金の還付金をATM(現金自動受払機)で受け取るように指示する手口も登場。ATMで還付金を受け取れず動揺した被害者が、再び電話してくると口座振替の手続きをさせてしまう。行田市の男性は約10万円をだまし取られた。
県警捜査2課は、既遂事件の急増の原因を「最近は家族構成、仕事事情、通学中の大学など詳細な情報を入手した上で、電話してくるため被害者が信用してしまうのでは」と分析。「本来、現金の振り込みは緊急性を要するものは少ない。振り込めという言葉が出たら気をつける、すぐ振り込みを要求する電話は疑うなど気をつけてほしい」と呼びかけている。
また、振り込め詐欺全体の認知件数は602件と昨年同期から26%減ったものの、被害総額はおれおれ詐欺の増加の影響で約8億8000万円と約2億7000万円の増。他の振り込め詐欺は、覚えのないアダルトサイト使用料などを請求する「架空請求」が100件(昨年同期295件)、融資の保証金名目に現金をだまし取る「融資保証詐欺」は148件(同233件)といずれも減少した。
一方、刑法犯事件全体の認知件数は6万6249件と昨年同期(7万6187件)より13%減少。検挙率は24・0%と5・2ポイント上昇したが、全国平均(30・5%)には及ばず、都道府県警別では44位だった。【酒井祥宏】
8月20日朝刊
(毎日新聞) - 8月20日13時3分更新
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