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2006年08月15日(火) 00時00分

小泉靖国参拝…「終戦記念日」断行、総裁選争点化必至ZAKZAK

“外交的圧力に屈せず”を最後にアピール

 首相は同日、午前7時半に首相公邸を出発し、同40分、首相公用車で秘書官と警護官を伴って靖国神社に到着。モーニング姿の正装で本殿に昇殿して参拝した。献花料3万円は私費から納め、「内閣総理大臣 小泉純一郎」と記帳した。

 6年連続となる首相の靖国参拝。昨年10月の参拝は、直前に大阪高裁が首相参拝を違憲としたことなどを考慮してか、拝殿前で賽銭(さいせん)を投じて手を合わせる形式だったが、今回は平成13年から16年まで続けた「昇殿参拝」に戻した。

 参拝形式については、自民党の若手有志らが「昇殿形式」に戻すよう主張する一方、同党元幹部は「簡易参拝」の踏襲を求めていた。

 首相は平成13年の自民党総裁選で「8月15日の靖国参拝」を公約した。

 しかし、中国や韓国に配慮する当時の福田康夫官房長官らが「終戦記念日さえ避ければ大丈夫だ」と勧めたこともあり、同年8月13日に前倒しして参拝。ところが、中韓両国が激しく反発したため、「公約通りに15日に参拝するべきだったと悔やんでいた」(政府関係者)ものの、政権運営への影響を考えてか、その後も15日の参拝は避け続けてきた。

 その首相は今月に入り、靖国参拝について何度か“予告”していた。


参拝を終え、靴をはく小泉首相=15日午前、靖国神社 3日配信の小泉内閣メールマガジンでは「私は首相就任以来、心ならずとも戦争で命を落とさざるを得なかった方々へ哀悼の誠をささげるために、毎年一度靖国に参拝しています」と任期中の参拝を示唆。9日には「公約は生きてますからね。守るべきだと思ってます」と踏み込み、15日の参拝を強くにじませていた。

 これに対し、国内外で賛否両論がわき起こったが、首相は10日、「15日だろうが13日だろうが4月だろうが10月だろうが1月だろうが、いつ行っても批判してるじゃないか」と不満を露にしていた。

 「首相としては、『中韓両国は、靖国問題を対日外交を有利に進める圧力や国内の政権批判をそらす重要カードとして位置付けており、靖国問題で譲歩しても別の圧力をかけてくるだけ』と判断している」(官邸周辺)

 昭和天皇がA級戦犯合祀に不快感を示したとされるメモが報道されたことも、参拝を見送れば「天皇を政治利用した」との誤解を招きかねず、かえって首相の靖国参拝を後押ししたとの見方もある。

 首相の“参拝予告”に対し、中韓両国は外交ルートやマスコミを通じて牽制(けんせい)していたが、首相としては政権の幕引きにあたって、公約を重視し、外交的な圧力にも屈しない姿勢をアピールしたかったとみられる。

 今月に入り、「ポスト小泉」の最有力候補である安倍氏が今年4月に靖国参拝していたことが明らかになった。

 現時点で、中韓両国は安倍氏への厳しい批判は控えているが、今回の首相の靖国参拝が9月の自民党総裁選や、次期政権の中韓外交にどういった影響を与えるかは不透明だ。

■靖国神社とは

 戊辰(ぼしん)戦争での官軍の戦死者を弔うため、明治政府が明治2年、東京招魂社として創建した。戦前は陸、海軍省が所管し軍国主義の精神的支柱だったが、戦後、宗教法人となった。祭られているのは、第2次世界大戦をはじめ日清、日露戦争などで戦死した軍人・軍属ら約246万人。

 昭和53年に極東国際軍事裁判(東京裁判)で死刑となった東条英機元首相らA級戦犯14人を合祀(ごうし)した。中国などが反発しているが、靖国神社は「東京裁判は勝者による一方的な裁き」として、合祀は正当との立場。A級戦犯の分祀(ぶんし)は不可能としている。

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ZAKZAK 2006/08/15

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