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2006年08月11日(金) 03時05分

<振り込め詐欺>新たな手口に「民間私書箱」悪用毎日新聞

 全国で多発している振り込め詐欺事件の新たな手口として、「民間私書箱」の悪用がクローズアップされている。警察庁が先月26日、過去の事件で被害者が郵便等で現金を送った先の住所59カ所(東京都49、大阪市9、札幌市1)を公表したが、ほとんどがこうした私書箱だった。一方、日銀はインターネットバンキングを狙った「サイバー犯罪」の手口が悪質化しているとのリポートをまとめた。キーワードは「匿名性」。詐欺グループの巧みな道具となっている。【石丸整、川上晃弘、平地修】
 警察庁のリストにある電気の街、東京・秋葉原の雑居ビル2階。ドアに「私書箱」の看板が掛かり、インターホンがある。ここで郵便物を受け取り、室内の個人私書箱に仕分けするシステムだ。
 30歳代ぐらいの男性社員は「今年2〜4月、都内の2社あてに九州地方などから郵便が1日合計10通は届いた。4月下旬に警視庁の捜査員が来たので、振り込め詐欺に使われたと思う」と話す。
 2社に届いた郵便物は、それぞれ豊島区と西新宿の別の私書箱に転送するよう依頼されていた。
 追跡すると、豊島区の私書箱からの受け取りはバイク便業者だった。業者は、依頼された中野、港、千代田区などのコンビニエンスストア前路上など、指定された場所で郵便を詐欺グループとみられる男に渡した。
 バイク便の経営者(40)は「今年4月ごろ、電話でほぼ毎日依頼を受けた。受け取りは毎回違う男だったので、全部で10人前後いたのだろう」と話した。私書箱契約時の会社の住所地は、実際に行くと番地がなかったり、連絡先の携帯電話も既に別名義になっていた。
 警視庁捜査2課は今年7月、東京都調布市内で民間私書箱を経営していた男ら3容疑者を詐欺容疑などで逮捕。秋葉原の私書箱事件は未発表で、捜査中とみられる。
 都内で私書箱を運営する男性経営者(32)は、「私書箱開設から約2年で、捜査員が来るなど少なくとも30件は犯罪に使われたと思う。『だまされて100万円送った』と被害者が直接苦情を言いに来たこともある」と話す。別の私書箱運営会社社長(26)は、客との契約はファクスで済ませ、身分証明書は不要にしている。「身元確認をすると客が逃げてしまうから」だという。
 私書箱が悪用されるようになった背景には、金融機関の本人確認が厳密になったことと、郵便局窓口でも郵送先チェックが厳しくなったことがあげられる。私書箱1個の利用料は月額わずか2500円が相場。現状では私書箱の規制はなく、全国の店舗数や詳しい実態は不明だ。
(毎日新聞) - 8月11日3時5分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060811-00000026-mai-soci