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牛肉の原産地表示義務
現在は生の牛肉について、「豪州産」や「米国産」といった原産国表示が義務づけられている。しかし、国内の業者が輸入牛肉に塩やコショウをふりかけただけでも加工品として扱われ、産地表示は義務とはならない。
10月からはJAS法に基づく農水省の基準が改正され、原産国表示を義務化する牛肉加工品の対象が拡大する。しかし、「生鮮肉に近い加工品」に限られ、肉の表面だけをあぶった牛たたきや、タレにつけた牛カルビなどが対象だ。多くの牛肉加工品は、加工度が高く、原材料の産地特定が難しいとして、産地表示は義務づけられない。
6月に閉会した通常国会では、民主党を中心にすべての牛肉加工品に原産国表示を求める新法を議員立法で成立させようという動きがあった。しかし、食品業界は「タマネギやタマゴなど牛肉以外の素材も多く混じっているハンバーグや、牛肉以外の肉が多い合いびき肉などにまで、牛肉の産地を正確に表示するよう求めるのは技術的に困難」と難色を示した。農水省も議員らを説得し、法案提出を阻んだ。
それから1カ月余で農水省が方針転換したきっかけは米産牛肉の半年ぶりの輸入再開だ。再開決定後に開いた国民への説明会で、多くの消費者から牛肉加工品の産地表示を求める意見が出た。
ただ、関係業界の抵抗は強い。中川農水相は8日の閣議後の記者会見で「現時点では法改正は考えていない」と述べており、表示義務を拡大するならJAS法に基づく基準改正になりそうだ。農水省は有識者らによる検討会を設置し、対象拡大の範囲を時間をかけて慎重に議論する方針だ。