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自民党の「振り込め詐欺撲滅ワーキングチーム」(中野正志座長)の関係者は「不正口座残高がこんなにあるとは思わなかった。法曹界も強い関心を示しており早く立法化を目指す必要があると判断した。具体的な日程は今月末をメドに決めたい」と話す。
同チームのまとめでは、不正に使われたとして凍結された口座の残高は、全国銀行協会加盟行59.4億円▽全国信用金庫協会3億円▽全国信用組合中央協会2500万円。6月中旬から各団体が金融庁と連携して調べていた。これとは別に日本郵政公社の独自調査では、5.4億円の残高があった。
これまで全銀協や金融庁は「返還は司法の判断に従うのが基本」という姿勢だった。(1)名義人の承諾なしに返還はできない(2)複数の被害者がいるのに、残高が被害総額を下回る場合、どう分けるかのルールもない——などの理由からだ。
70歳代の横浜市の女性が北洋銀行(札幌市)に300万円の返還を求め提訴した事例では、事件直後に銀行に返還を求めたが「犯罪性が明確でない」と断られた。口座の名義人の情報も銀行側からは開示できないと言われ、名義人に代わり銀行に預金の払い戻しを求める債権者代位権訴訟に踏み切った。今年初めの第1回口頭弁論で銀行は応じる姿勢を示した。
5人の被害者が大手都銀4行を相手取った訴訟で、東京地裁は昨年3月、銀行側に総額約260万円を支払うよう命じた。その後、これを踏襲する判決が富山でも出た。しかし、「形式的な裁判なのに費用は被害者負担で時間もかかる」と北洋の訴訟を担当した石井誠弁護士は話す。
犯罪性が明確で被害者からの要求があり、口座に十分な残高があれば、金融機関が独自の判断で返還することもある。ただし、三菱東京UFJ、みずほ、三井住友、郵政公社は、朝日新聞の取材に「個々のケースによる」としており、被害者にとって、どんな場合だと返還されるのか基準が分かりにくかった。