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報告書でパロマ工業と販売会社のパロマは、事故原因に「安全装置が働かないようにした改造」を挙げ「パロマが指導、教唆、容認した事実はない」「改造にかかわった社員はいない」と、改造を行った修理業者の責任を強調した。
一連の事故のうち、パロマを被告として提訴された四件の訴訟では、いずれもパロマの責任は認められていない。
しかし、日米のPL法に関する訴訟に詳しい山口正久金城学院大大学院教授は「簡単に改造を許す設計自体が欠陥」とパロマ工業自体の責任を指摘。米国では同種の訴訟で「改造を許す設計に過失がある」としてメーカーの責任を認める判例が定着しているという。
今回の問題を受け、消費者からの相談受け付けなどをしている「欠陥商品被害救済全国協議会」の中村雅人弁護士は「不正改造があることを知りながら、製品や説明書などに注意を表記していない。指示・警告上の欠陥が認められ、メーカーの落ち度は明らか」とする。
製品自体の欠陥でなくても、使用方法次第では危険がある場合、製品などに明示して危険性を使用者に知らせなかったメーカーの過失は、医薬品や医療器具などをめぐる訴訟の判決で認められている。
ただ、PL法でメーカーの過失を問えるのは製品引き渡しから十年。事故を起こした四機種は製造販売終了から既に十年以上がたっている。
一方、民法は企業責任を認める期間を、引き渡しから二十年と長く認める。しかし、PL法と違い、製品の欠陥だけでなくメーカーの過失も原告が立証する必要がある。 (経済部・丸山崇志)
■時効前の事故 立件視野警視庁
湯沸かし器のCO中毒事故のうち、昨年十一月に東京都港区のアパートで大学一年上嶋浩幸さん=当時(18)=が中毒死した事故が、業務上過失致死罪の公訴時効(五年)にかからない唯一のケースだ。
この事故では、湯沸かし器の電源プラグが抜け、排気ファンが作動せずに不完全燃焼が起きていた。湯沸かし器の安全装置が働かないよう配線を組み替える改造がされていた。
改造はコントロールボックスの端子の一つに二本のリード線をつなぐ方法で、ファン停止後もガスが自動的に遮断されない仕組みだった。
警視庁捜査一課は、パロマ幹部ら関係者から事情を聴き、改造者の特定やパロマ側の安全管理態勢などを重点に詳しく調べている。
実況見分でも、約四十五分間で致死量に達するCO発生が確認され、湯沸かし器から中毒原因のCOが発生したと断定した。
一九九六年に港区赤坂の当時二十一歳男性や、二〇〇一年に新宿区新宿の夫婦二人がCO中毒死した事故でも同様の改造があったことが、同課のこれまでの調べで確認されている。
同課は、このうち上嶋さんの事故について、業務上過失致死容疑での立件を視野に捜査しているが、「誰が改造に関与したか」という特定は難航。電源プラグをコンセントに接続して使うよう注意書きされていた事情もあり、慎重に調べを進めている。
不正改造が横行し、繰り返された悲劇。上嶋さんの母幸子さん(52)は言う。「同様の事故を知った二十年前にパロマ側がしっかり対処していれば、息子は助かった。せめて警察に真実を明らかにして、責任を追及してほしい」 (社会部・石川修巳)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060801/mng_____kakushin000.shtml