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日本での合同結婚式。後列中央が鄭明析教祖
複数の脱会者によると、合同結婚式は集団内で「祝福式」と呼ばれている。日本では96年に東京都内で、男女12組が鄭教祖の立ち会いのもと、式を挙げた。その後は00年から今年春までに5回開かれ、これまでに少なくとも150組300人以上が参加したとみられる。
参加者は、男女とも27歳以上で3人以上を集団に誘い込んだことが条件とされる。首都圏と関西の施設に分かれて集められ、教祖側近の韓国人女性幹部らから「祝福式は教祖の御心(みこころ)」などと教え込まれる。
参加者は健康診断の結果を提出させられ、信者の医師が持病がないかを調べる。さらに、女性については教祖本人と面談し、異性交遊がなかったかを問いただされる。この際、わいせつ行為を受けた信者もいるという。
「審査」を通過した参加者はその後、相手を探すパーティーに出席する。「男女の年齢差は3歳まで。ただし、女性は年下の男性を選んではいけない」と指示される。最後に、カップルになれれば教祖本人と面談して了承を受けるが、教祖から「天に聞いてみたが、だめだ」と破談にされることもあるという。合同結婚式は、その約1年後に開かれる。
「摂理の子孫を日本でどんどん増やしなさい」。鄭教祖は03年7月、都内のホテルであった合同結婚式に、白いタキシード姿でネット中継の大画面に現れ、そう告げた。当時はすでに韓国の捜査機関から指名手配され、逃亡中だった。列席していた男女約40組の中には、喜びの涙を流す姿もあった。
東日本に住む30代の男性脱会者も、その場にいた。
相手を見つけるパーティーは01年暮れ、富士山のふもとのホテルであった。出席者は約150人。来日中の鄭教祖は「相手はこの中だけ。10人と会話をしなさい」と指示し、3日後に迎える元日午前0時を期限とした。相手が見つからずに泣きじゃくったり、不眠不休で倒れ込んだりする信者もいたという。
男性は合同結婚式の後、相手の女性と同居生活を送ったが、価値観の違いを感じた。その後、鄭教祖の性的暴行疑惑を聞いて脱会を決意し、女性とも離婚した。「教祖が決めた相手を覆すことはタブーだった」と言う。
30代の女性脱会者は、大阪府の「教会」で合同結婚式への参加を勧められたが、断った。「わずかな時間で相手を見つけ、神が決めた結婚とされて離婚も許されない。一生、抜けられなくなるのではと怖かった」
合同結婚式をめぐっては、最高裁が96年、世界基督教統一神霊協会(統一教会)で結婚相手を決められ、入籍を指示された信者の婚姻を無効とする判断を示している。
「摂理」の鄭教祖は、70年代に統一教会で活動していた時期がある。脱会支援を手がける渡辺博弁護士は「統一教会と方法は少し違うが、まねをしていることには変わりない」と話す。
http://www.asahi.com/national/update/0731/OSK200607310206.html